院長ブログ

隠れ便秘

2019.10.30

熱を出し、不調な若いワンちゃんが来ました。
しかし熱が出てると言う割には、来院時の見た目は元気そうな感じなんです。
いや〜飼い主さんの顔は、心配で悲壮感いっぱいです。

「家ではグッタリなんです!」
「元気無いんです、しかもご飯も食べない!!」
「40℃も超えてる時もあるんです!」

なるほど、検温すると熱が出ています。
しかし待合室では跳ね、診察台の上では尾をブンブン振っているんです。
飼い主さんとは違い、顔にも笑顔って感じに見えるんです。

さ〜チェック!
お腹を押すと痛がってる!
腹痛もあります。
そこで飼い主さんに再度問診です。

「ウンチは出ていますか?」
「さっきもしてました!!」
「ウンチの固さは、どのくらいです?」
「良いウンチしてます!」

そこで問診、触診の結果からレントゲン検査です。
ん、なーるほど!!
直腸から結腸で、盲腸の近くまで「ウンチ盛り盛り!」

時たま、お腹の病気っぽく無いのに熱が出て腹痛を訴える子がいます。
これって「便秘」の症状である場合があります。
また吐いて熱を出してる子の中にも、便秘の子がいます。

「でも〜ウンチ、日に何回かしてますよ!」
「そうですか?いつもコロコロ・ウンチじゃないですか?」
「え、いつも良いウンチです!」

出た〜良いウンチ、発言!!
ウンチが出ていると、ウンチがちゃんと出ているは、大きく違います!
ウンチをしているから便秘ではない訳じゃありません!
「これって、隠れ便秘ですよ!」

便秘で熱が出ることは、古い昔から言われています。
便秘により腸内に悪玉菌が増えると「プロスタグランジン」と言う物質が作られます。
これが脳にある視床下部の体温を調節する場所に作用し、熱が出てしまうのです。

便秘なのに、下痢っぽいウンチが出ることもあります。
なぜ、そのようなことが見られるかと言うと‥‥

頑固な便秘が続くと、溜まったウンチ便で腸の壁が押され広がり伸びきったゴムのようになってしまいます。
そして溜まっている硬い隙間を、軟らかなウンチが通り出てきてしまうんです。
そのため、これを下痢と思って下痢止めを使ってしまうと大変なことになってしまいます。
腸内環境を整えておき、健康なウンチをすることは大切なんです!

便秘は習慣性になりやすいので「便秘=薬」にしてしまうと、薬が離せなくなってしまいます。
そのため治療は、食事療法と水分療法がメインになります。
また食事と排便の関係を理解していただき、再発防止を頑張ります!

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