院長ブログ
のうきょう
2007.04.01
呼吸が悪く、虚脱気味…意識が遠く反応が薄い猫が来た。
横隔膜を傷つけたか、肺に水が溜まっているか、独特の呼吸の仕方をしている。
聴診すると、心音が遠い
しかも、お腹の方では肺音が弱く聞こえ、背中の方では肺音が強く聞こえる。
レントゲン写真を撮ると、肺が背中の方に小さく写っている。
「ん?肺に水が溜まってますね」
「その水が膿であれば、のうきょう!です。」
のうきょうと言っても、JA農協じゃぁ無い。
膿胸と書く。
この膿胸は、胸膜が何らかの原因により炎症を起こて膿がたまった状態を言う。
広く剃毛し、イソジンで手術部位を消毒して、針を刺すと…
ちなみに針は、心臓を刺さないように第7から8肋骨の間に刺すのである。
刺した針からは、濃厚なポタージュ・スープ状の液体が出て来る。
膿である。
しかも、すご?く臭い。
採取した膿は培養され膿胸を起こしている菌と、その治療薬が決められる。
温めた滅菌生理食塩水で胸の中を洗うのだが、廃液中には膿の塊がいっぱい出て来る。
しかも、胸をトントンと軽くたたくと、その塊がさらにいっぱい出て来る。
この子は日に幾度も胸の中を洗われ、抗生物質で治療を受けて行くのである。