院長ブログ

呼吸が‥『SpO2』測定してぇ!

2019.04.29

なんか舌の色が悪そう?
ちゃんと息ができてるのかなな〜?
呼吸が苦しそうに見える!?
そのような時に検査するのが『SpO2

SpO2は、酸素が体の中にちゃんと取り込まれているのかを調べる検査です。
SpO2のSは飽和(Saturation)、Pは脈(Pulse)、O2は酸素の略で、日本語では「経皮的動脈血酸素飽和度」といいます。

血液中には、酸素を運ぶヘモグロビンがあります。
肺に取り込まれた酸素は、このヘモグロビンと結合する事で全身に運ばれます。動脈中の赤血球のヘモグロビンが酸素と結合している割合をパーセンテージで表したものが、酸素飽和度です。
つまり『ヘモグロビンの何%が酸素を運んでいるか』を示しています。

呼吸の機能が正常であれば、96~99%の値を示します。
95 %未満は呼吸不全の疑いが、そして90 %未満では呼吸不全となります。

呼吸不全とは肺での呼吸がうまくできないため、腎臓や脳など他の臓器がうまく働かない状態を言います。

この状態になると、まず安静と酸素吸入を行います。
酸素吸入を行うと楽になるため、安静を保てずに動き回り苦しくなってしまうワンちゃん猫ちゃんもいます。
この場合は、心を落ち着けられるよう投薬を行い安静状態を保つようにすることもあります。

呼吸不全には、急性のものと慢性のものがあります。
急性は肺には異常がなかったのに何らかの原因で急に酸素を取り込めなくなった状態で、慢性は肺そのものの病気のために酸素が取り込めない状態のときに起こります。

「経皮的動脈血酸素飽和度」とは別に、SaO2(動脈血酸素飽和度)と呼ばれる検査があります。
SaO2は、実際に血液を採血して酸素飽和度を測定する方法です。

しかしパルスオキシメーターが開発され、ヘモグロビンが酸素と結合していないときには赤色を吸収し、酸素と結合しているときには赤色をあまり吸収しない性質を利用し、採血しなくても皮膚に挟むだけで簡単に血液中のヘモグロビン内にどれだけ酸素を含んでいるかSpO2 が測れるようになりました。
しかも採血しなくて良いうえに検査値がSaO2とほぼ同じであるため、SpO2が急速に導入されるようになったのです。

パルスオキシメーターによる「SpO2 :経皮的動脈血酸素飽和度」は『呼吸器などの疾患』にだけでなく『安全な手術を行うため』には、絶対に必要な検査の一つとなっています。
そのため動物病院においても、取り入れてる施設は多数あります

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