目的地に着かない
2019.06.30
「あの〜うちの子、一つしか無いんですが?
「眼も二つ、耳も二つ、、、体には二つあるものは多いかも!」
そう思いつつも、チェック。
「あ〜ら、本当に一つですね!」
「もう一つはいつになったら出てくるんでしょう?」
見た目、一つしか無いのは睾丸である。
「どこにあるかな?宝探しになっちゃうかもですよ!」
そんな話から始まった、本来は二つあるべき睾丸の生まれた時からの説明である。
犬の睾丸は、生まれた時にはお腹の中にあります。
これが出産し時間とともに、お腹の中から本来の位置に移動します。
そして生後30日から半年くらいまでには、移動が完了します。
ところが睾丸が移動せず、に腹の中か内股の部分に留まってしまっていることがあります。
留まってているのが一つの場合もあるし、二つともの場合もあります。
この状態を『陰睾(潜在精巣)』といいます。
陰睾は、ネコちゃんはまれですが、ワンちゃんは比較的多い病気です。
ちなみ移動できずに停留している睾丸は、本来のものよりも小さくフニャフニャです。
状態のままにしておくと、腫瘍化することもあります。
腫瘍下し悪性となった場合は、骨髄に影響を及ぼし貧血状態となります。
一度骨髄が壊れてしまったら骨髄は元の状態には戻りません。
また転移して、死に至る事もあります。。
健康な子と隠睾の子では、腫瘍の発生が10倍以上にもなると言われています。
ここで問題となるのが、お腹の中に睾丸が留まっている場合です。
お腹の中だと、腫瘍化して大きくなっているのが外からではわかりません。
そのため貧血状態でフラフラするなどの症状が出たときには、手のつけようがない状態となってしまっています。
ちなみ、この病気は遺伝するため繁殖には用いないようにしなければなりません。
また腫瘍の発生リスクを下げるため、早期の去勢手術を行います。
内股に留まった睾丸を摘出することはさほど難しくはありませんが、お腹の中にある場合は開腹して取り出し必要があります。