院長ブログ

とても息苦しい原因は胸水だった・・・

2022.06.13

呼吸が悪くて

猫が息苦しいかもとの来院!
なるほど呼吸の仕方が変である。

そこで胸のレントゲン写真を撮ると・・・胸が白い。
胸の中にたまったものは『水?血?膿?』

胸腔(胸壁と肺の間)にたまる水が「胸水」
肺や胸の血管が切れたりなどで起こるのが「血胸」
肺炎をこじらすなどして膿がたまったものが「膿胸」です

胸に針を刺し、たまった液体を採取してみたら・・・
透明の液体で「胸水」でした。

胸水の中から採集した細胞を検査センターに出したら・・胸水の原因は癌でした。
つまり癌細胞が胸腔内に播種(散らばること)したことによる「癌性胸水」だったのです。

胸水の様子

正常な肺(左側)と、胸腔に水が溜まっている肺(右側)です

胸水の量が増えると肺が圧迫され、息苦しくなります。
それだけではなく心臓も圧迫されてしまうと、心臓の働きまで悪化してしまいます。
胸腔内の胸水の量少なく症状が軽ければ、薬での治療を行います。
しかし今回は胸水の量も多く症状も悪いので、胸に針を刺し胸水を抜いての治療です。
その後に、胸水がたまらないように胸膜癒着処置を行ないます。

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