猫ひっかき病
2019.06.21
英語ではCat-scratch disease と言われる変な名前の病気ですが、病名の表す通りネコに引っ掻かれたり咬まれて感染する、人獣共通感染症です
この病気の病原体である『バルトネラ菌』を持ったノミが、猫に寄生することで猫に感染します。
このバルトネラ菌は猫の体内では赤血球の中に住んでおり、日本では猫の1割がバルトネラ菌を持っているとの報告があります。
このバルトネラ菌は猫に対しては病原性が無いため、猫に感染しても無症状です。
ヒトへの感染は猫から受けた傷からですが、直接菌を持つノミから感染したり、菌を持った猫を触ったヒトが別のヒトに触り感染することもあるとされています。
猫ひっかき病はノミが関与するため、ノミが発生増殖する季節に多くみられます。
ヒトの症状は・・・
猫に引っ掻かれたり咬まれてから数日から2週間後に、その部位が赤く虫刺されみたになり、腫れたり水ぶくれとなります。
また化膿したり潰瘍状になることもあります。
引っ掻かれたり咬まれるのは指先や手、腕が多く、時たま足にジャレつかれて足に傷を負うこともあります。
バルトネラ菌の感染は傷の大きさには関係なく、目に見えないような小さな傷からでも感染することがあります。
最初に病変が見られた1〜2週間後に、手に傷を受けたなら脇の下のリンパ節が足なら足の付け根に痛みを伴ったリンパ節の腫れが、約9割のヒトにみられます。
リンパ節の腫れはニワトリの卵くらいにまでなることもあり、その腫れは数週間から数ヶ月も続くこともあります。
多くのヒトで悪寒や倦怠感、関節痛、吐き気、食欲不振などの症状もみられます。
また痙攣発作や意識障害などの症状が出てしまうヒトもいます。
リンパ節の腫れなどに対して抗生物質などの抗菌薬を投与しますが、その効果は低く明らかな治療効果が得られないとされています。
猫ひっかき病は、猫と接触したからといって、猫から傷を受けたからといって即発症するとは限りません。
しかし、感染の防御と予防はしっかりしておく必要はあります。
予防方法は・・・
ノミの定期的な駆虫・予防
爪を常に短く切る
猫を触った後は手を洗う
性格のおとなしい猫を飼うことも予防方法の一つでしょうけど、子猫のうちは皆活発だし真の性格なんてわからないですよね!
猫や犬などの動物たちが家族化し触れ合う機会が多く、関係が濃密になっています。
お互いの健康を守るためにも、ヒトと動物の間で起こる人獣共通感染症に対する知識を持っておくことは大切であると思います。