院長ブログ

腸穿孔

2019.09.15

「家にいるときは元気も無く、鬱の状態みたいな感じで丸まっており、吐き気が止まらない」
との主訴の猫ちゃんが来院したのです。
治療を受けてるのですが、吐き気は止まらず熱も落ちず元気も無い状態が数日続いてるとのことです。

「毎日一回は毛玉を吐いてたのが、吐かない日から変になったんです!」
「ここじゃ元気なんですが、家じゃ全く動かないんです!」

飼い主さんの話から
「毛玉による、胃閉塞?腸閉塞??」
と一瞬思ったのですが・・
しかも飼い主さんも同じように思ってるらしいんですが、診るに症状に納得がいきません。

しかし呼吸はすごく早いし、なるほど熱は落ちてません。
最初に診た先生も、私と同様に胃閉塞、腸閉塞は除外してますし・・
そこで処方していただいた薬から考えても、症状の治り方が変です!

飼い主さんに説明し、試験的開腹手術です。
試験的開腹手術とは、どうしても判断がつかない時に行う手術で、しかも得られる情報量は血液検査やレントゲン検査、超音波検査などよりもとても多く診断と治療に大変役に立ちます。

全身麻酔を行い、お腹を開き胃の周辺から直にチェック開始です。
その結果『腸穿孔』を発見、十二指腸の部分に穴があいてました。

良かったことに胃の動きがなく胃停滞を起こして胃の内容物が腸の方に流れていませんでした。
そのため胃の内容物が、お腹の中に漏れ出てるのが本当に少なかったんです!

腸穿孔とは、何らかの原因により腸の壁に穴が開いてしまうことです。
この穿孔は腸だけで無く食道や胃もに起こることがありますし、腸の場合には小腸や大腸にも起こります。

胃や腸に穴が開いてしまうと、当然ながら痛みを伴います。
この痛みは、胃や小腸の場合には急に起こりますが、大腸に場合には徐々に起こることが一般的です。

どちらにしろ穴が開くんですから、それは相当痛いでと思います‥‥
しかし、この子は痛がらなかったんです!
不思議ですよねぇ〜

胃や腸穿孔の原因は、潰瘍、胃腸の捻転、閉塞、腫瘍、胃腸への血液の流れが悪い、感染症などがあります。
開いた穴を縫って閉じても、その部分の組織が脆弱であれば再度開いてしまうこともあるため、腸を切って縫い合わせる必要もあります。
しかし今回は十二指腸であり、膵臓や胆嚢への影響もあるため閉鎖手術を行いました。
早々に快復することを祈ります!
それにしても試験的開腹って、本当に大切ですね!

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