院長ブログ

お尻のデキモノ

2019.09.21

肛門の周りにはウンチが付かないように、常に皮脂腺から分泌される脂で覆われています。
その腺を「肛門周囲腺」と言いますが、その肛門周囲腺皮脂線が腫瘍化してしまったものが、肛門周囲腺腫です。

だいたいの飼い主さんは、気付いたら肛門の所に「硬いシコリ」があったと「シコリ」から出血してるということで気がつかれます。
ワンちゃんは気にする素振りも見せませんので、痛みや痒みは無いのでしょうね。

肛門周囲腺は、肛門周囲にだけでなく皮膚のところにもあります。
そのため同時に幾つものシコリができる事もあります。
また肛門周囲腺とは言いますが、肛門にのみある腺ではありません。
肛門から離れた場所にも腺があることがあるため、肛門じゃ無い場所にシコリができることもあります。

肛門周囲腺腫が出来てしまう大きな原因は、男性ホルモンと言われています。
そのため去勢手術をしていないワンちゃんに、よく見られます。
また多くは良性ですが、悪性のものも見られます。
ただメスのワンちゃんに出来てしまった場合には、悪性腫瘍の可能性がとても高くなります。
治療は手術で取除くことが第一選択です。

あまりにも高齢とか心臓病で全身麻酔のリスクが高い場合などの理由で手術が出来ないこともあります。
また腫瘍が大きくなりすぎた場合には、腫瘍を小さくさせてから手術することもあります。
このような事にならないよう、できるだけ小さなうちに手術を行う事が大切です。

発症予防には、若いうちに去勢をすることです。
考え方によっては、予防できる腫瘍とも言えます!

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