院長ブログ

平滑筋種

2019.07.11

突然、飛び出してきた赤いもの。
あまりのも突然なので、飼い主さんもビックリです。
押し込むと見た目には消えるのですが、しばらくすると出てきちゃいます。

検査の結果、良性の腫瘍。
膣から発生した平滑筋腫です。

膣には腫瘍はあまり多くはできません。
ただ卵巣や子宮でできる腫瘍に比べたら、チョット多いかもです。
ちなみ子宮蓄膿症の子の卵巣を病理検査に出してみると、卵巣腫瘍の場合が多い気がします。

過去にオシッコに血が混じると、来院した女のワンちゃんが来ました。
膀胱炎の治療をしてるのだが、よくならないとのことでした。
この子をよく調べてみると、鬱血した平滑筋種が膣の奥の方にあったのです。
オシッコするときに、その血が混じって出てたのでしょうね。

この腫瘍は、女性ホルモンの影響で発生すると言われています。
そのため、避妊手術をしていないワンちゃんで見られます。
また避妊手術をしてあっても、手術をした時期が遅い場合に見られることもあります。

膣の中に、幾つもの平滑筋種があったこともあります。
この腫瘍は大きくなる傾向にあり、その場合はウンチやオシッコが出づらくなります。
今回の腫瘍は血管が豊富であったため、止血処置をしっかり行い手術しました。

このように飛び出てくる場合は良いのですが、飛び出てこない場合もあります。
その場合は、お尻周りが大きく腫れて見えることもあります。

ヒトで「子宮筋腫」という病気を聞きますが、これも平滑筋種です。

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