【骨折】犬の骨折とは?症状や治療法を解説
2022.08.20
抱っこしてたのを床におろしたらキャンって鳴いて、前足を上げちゃってる!
そのような症状が見られたら「骨折」の疑いがあります。
しかも触るとメッチャ怒るんです!どうしたんでしょう??
レントゲン検査してみようね。
骨折ですよね!
「骨折」とは、何らかの衝撃で骨が折れてしまったりヒビが入った状態のことをいいます。
「骨折」と聞くと交通事故など、大きな衝撃が骨に加わり起きてしまうようなイメージがあります。
しかし実際にはソファやベッドから飛び降りて、また走っていてクッションにつまづき骨折した犬もいます。
ここでは『犬の骨折』の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
もくじ
骨折はどんな症状?
骨折は、1歳未満の仔犬に多く見られます。
骨折の症状は骨折しているを場所により様々ですが、多くは以下のような症状が見られます。
- 触ると痛がる 抱こうとすると怒る
- 折れている場所が腫れている、熱っぽい
- 足を上げている
- 折れている場所をしきりに舐めている
- 歩くとふらつく
- 隅でじっとうずくまって動かない
- オシッコ・ウンチができない
犬は骨折して痛くても、ジッ〜と耐えていることがあります。
そのため歩き方や行動などから、異変に気づいてあげることが大切です。
~Dr.Nyan ポイント~
骨折の約6割が前足におこる
骨折は前足に多いです。その理由としては、
- 日常生活で体重の半分以上が前足にかかっている
- 走ると前足から着地する
- 前足の骨は後ろ足に比べて細い
このように、前足に大きな力がかかりやすいため、骨折が多いとされています。
完全骨折と不完全骨折
「完全骨折」は、骨がきれいにポッキリ折れてしまい連続性が無くなった状態のものです。
「不完全骨折」は、骨がポッキリとはいかず部分的に繋がっている状態のものです。
不完全骨折には、骨にヒビが入ったり状態のものなどがあります。
また骨は折れて入るが、骨膜は無傷で見た目には骨折がわからない状態のものもあります。
骨とその周りの組織には、神経と血管が通っています。
そのため骨折すると、とても痛くその部位が腫れてきます。
不完全骨折はレントゲン検査では、なかなかわかりません。
痛がっているのに骨折とも言えず、また骨折してないとも言えないこともあります。
複雑骨折と単純骨折
「複雑骨折」とは、折れた骨が皮膚の外に出ている状態の骨折を言います。
骨が一箇所しか折れてなくても、複雑なのです。
今は「開放骨折」って言うことが多くなりました。
「単純骨折」とは、骨折をした際に皮膚から骨が出ていない状態の骨折です。
たとえ骨がバラバラに折れていても、単純なのです!
ちなみ骨が粉々に砕けた場合は「粉砕骨折」と言います。
骨折した場合には、場合によってはCT検査やMRI検査を行う必要があります。
MRI検査は骨折部位の炎症反応までわかる場合もあるので、骨折周囲の詳しい状態までも知ることもできます。
骨折の原因は?
それでは一緒に原因を確認していきましょう
抱っこ中に誤って落とす
愛犬を抱っこした時に誤って落下し、骨折するケースがあります。
そのため、抱っこをする時に落下させないように細心の注意をはらいます。
また、子供が不用意に抱き上げ、落としてしまうこともあります。
ソファーなど高いところから飛び降りる
ソファーやベッドから飛び降りた時に、前足を骨折することが良くあります。
犬は高いところから降りる際には、必ず前足から降ります。
その際に、全体重を前足で受け止めます。
体重がかかった手首から肘の骨(橈骨と尺骨)に、大きな負担がかかり骨折してしまいます。
前足に骨折が多いのは、このような理由からです。
フローリングで滑る
犬にとってフローリングは滑りやすい床材です。
室内で遊んでいる最中に、フローリングの床で滑って骨折するケースがあります。
特に小型犬で多くみられる原因です。
飼い主が誤って踏む
足元に居ることに気が付かず、踏んでしまうことがあります。
特に1歳未満の仔犬では、飼い主さんの足元に来やすいので注意が必要です。
また飼い主さんが開け閉めしたドアでの事故も多く見られます。
屋外でのトラブル
屋外では散歩中の事故や、公園やドッグランなどで遊んでいる時に骨折することがあります。
また、他の犬と戯れあったりケンカなどでも骨折することもあります。
~Dr.Nyan ポイント~
突然の骨折に備えて!骨折の応急処置方法
骨折した時は患部を動かさないようにし、応急処置を行います。
例えば足なら骨折した場所にハンカチやガーゼ、タオルを巻きます。
その上から添え木をして固定します。
例えば薄い雑誌や厚い段ボールを巻き、テープや包帯などを使用し固定します。
痛みから犬が興奮状態になっていることもあります。
その場合は患部を確認しようとすると噛まれてしまうこともあるので注意してください!
このような場合には無理に応急処置はせず、動物病院に連れていきましょう。
骨折の治療法と費用
治療前に骨折の場所や状態を確認するためレントゲン検査を行います。
また、骨折の疑いがある場合は、簡単に考えず全身のチェックを行います。
骨折以外に出血や内出血、他の部位に何か起きていないかの確認をするためです。
骨折の治療には、以下の四つの方法があります。
- 外副子固定法(ギブスなどで固定する方法)
- 髄内ピン法
- プレート固定法
- 創外固定法
外副子固定法
一般的にいう「ギプス」固定です。
患部をアルミ製などのギプスを巻き、固定します。
この治療は生後1才未満の若い犬で、骨折やズレが無い骨折で行われます。
手術を行うわけでは無いため、犬の負担が少ないと言えます。
ただ治るまでは安静が必要となります。
一般的には骨折は早く治ります。
しかし動き回ってしまった場合には、骨折した場所がくっつかないこともあります。
髄内ピン法
全身麻酔で手術する治療方法です。
骨の骨髄という部分にピンを通し、骨折部位を安定させます。
骨折した部分を開いてピンを通す方法と、骨折した部分を開かないでピンを通す方法があります。
この方法は固定する力が弱いため、ギプスもかけます。
仔犬や高齢犬では、手術を行えない場合もあります。
プレート固定法
全身麻酔で骨折した場所を開き、手術する方法です。
プレート(金属の板)をネジで留めて、骨折した骨を固定します。
骨を骨折前の形に戻すことができ、手術した翌日から歩くこともできます。
とても良い治療法なのですが、体への負担は大きくなってしまいます。
プレートを取り付けた部分の治りが進みにくいのが欠点です。
またプレートが当たっている部分の骨が、細く痩せていくこともあります。
そのため、また骨折してしまうこともあります。
創外固定法
全身麻酔をし、皮膚の上からネジ付きの金属製ピンで固定する手術方法です。
この方法は、骨折した場所を大きく切り開くことはありません。
大きく皮膚や筋肉を開かないため、骨折が早くしかも強く治ります。
ただ皮膚から金属のピンが出ているため、見た目が痛々しそうです。
また手術後の管理ができない場合には、不向きな治療方法です。
~Dr.Nyan ポイント~
もし骨折を治さずにいたらどうなるの?
骨折を治さずにいると、骨が曲がってくっついてしまうことがあります。
また折れた部分が仮関節(関節のように曲がるような状態)になってしまうこともあります。
このようになってから治そうとしても、とても大変になってしまいます。
骨折の疑いがある場合は早めに動物病院へ受診しましょう。
骨折の治療費は?
費用は骨折の状態や治療法、また治療期間によって違います。
複雑や複数箇所折れている、骨のツキが悪いとかなると費用は嵩んでしまいます。
また手術後も治り方のチェックのため、定期的なレントゲン検査などを行う必要があります。
骨折の状態によっては、整形外科専門の動物病院を紹介しております。
骨折の予防方法
抱っこ時は落とさないように注意する
「抱っこをしていたら、落としてしまった。」
こんな単純な事故は、本当に多いです!
そのため抱っこをする時には、腕と体で優しく包み込むようにしましょう。
また抱き上げても暴れないように、抱っこに慣れさせておく必要があります。
子供が抱っこ中に落としてしまう事故も多いです。
不用意に犬を抱き上げさせない、など注意することが大切です。
散歩時は事故に注意する
適度な散歩は骨を強くし筋肉を鍛えてくれますが、事故に合うリスクもあります
。
散歩での事故を防ぐには、リードは短く持つことです。
またハーネスを使用し、首輪が抜けてしまうことを防ぎます。
ハーネスは犬の動きをコントロールすることも出来ますので、利用することもお勧めします。
躾(しつけ)を行う
仔犬の時から、室内の危険な場所には近づかないように、躾ておくことが大切です。
例えば台所です。
仕事中に足元に来られ足をとられて飼い主さんが怪我をしたり、犬を踏んでしまいます。
具体的な躾の例としては
- ソファーや椅子、ベッドなどの上などに登らせない
- 室内を走り回らない
- ピョンピョン飛び跳ねさせない
- 車からの飛び降りはしない
- 玄関に降りない
です。
「待て!」を練習をすることで、興奮したときに落ち着かせることができます。
また何か行動をするのも、止めることができます。
『待て!』は生活をしていく上で、とても便利な躾です。
適切なフードを与え運動を行う
一般的には各年齢ステージにあった総合栄養食を食べさせていれば、問題は起こりません。
例えば仔犬であれば仔犬用のフード、成犬であれば成犬用の総合栄養食を食べさせます。
また総合栄養食を食べさせていても、オヤツの与え過ぎは栄養のバランスを崩してしまいます。
そのためオヤツを与える場合には、注意しましょう!
また、丈夫な骨にするためには、筋肉をつけるため適度な運動を心がけます。
足の骨は、骨に力が加わることにより強くなっています。
そのため強い骨を作るのは、走ることも重要な要素になってきます!
生活環境の見直し
骨折は家の中でも起こります。
そのため家の中での事故を防ぐ対策が大切です。
ソファーやベッドなど上り下りのため、スロープや階段を置くと良いと言います。
またソファーやベッドの下に、クッションやマットを置くと落ちた時に怪我をしないとも言われます。
しかし実際にはスロープや階段を思いっきり駆け上がたり踏み外して、骨折した犬がいます。
また床に置いたクッションにつまずいて、骨折や膝を痛めた犬もいます!
少しでも事故を減らすためには躾が大切です。
ソファーはヒトが座るモノ、ベットはヒトが寝る場所とし上がらせないことが大切です。
また床で滑らないように足裏の毛を短く切っておいたり、カーペットなどを敷くなどの対策も行いましょう。
ドアの開閉にも、注意することが大切です。
骨折症を起こしやすい犬種
- 骨が細い小型犬
- イタリアン・グレーハウンド
- ポメラニアン
- トイ・プードル
- パピヨン
- マルチーズ
- ミニチュア・ピンシャー
まとめ
骨折は身近で起こりますが、少しの注意で防ぐこともできます。
また骨折までには至らず、膝のお皿を脱臼(膝蓋骨脱臼)してしまうこともあります。
まず周りに危険がないか、見直しが大切です。
健康で元気な毎日を過ごすため、躾をがんばりましょう。
スタッフ一同、お手伝いいたしますので声をかけて下さい!