【胆泥症】犬の胆泥症とは?症状や治療法を解説
2022.02.13
なんか黄色いものを吐いて、元気も食欲も無い。
そんな症状がみられたら「胆泥症(たんでいしょう)」かもしれません。
それで再検査が必要だって言われちゃった!
超音波検査をしてみよっか!
泥ってどういうこと??
胆泥症は、発症するまでは症状が見られないことがほとんどです。
そのため健康診断などで、偶然に見つかることが多い病気です。
それでは犬の「胆泥症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
もくじ
胆泥症の症状
~Dr.Nyanポイント~
胆嚢と胆泥って何?
「胆嚢」は肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にあります。
この胆嚢は、【肝臓で作られた胆汁を濃縮し一時溜めておく袋】です。
胆汁は脂肪を分解し、水に溶けやすい状態にする役割を持っています。
胆泥はその【サラサラだった胆汁が変質し、泥状になったもの】です。
でもどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!
無症状
胆嚢がある肝臓は「沈黙の臓器」とも言われます。
胆泥が少ない場合、胆嚢も肝臓と同様に、何ら症状が見られないことが多々あります。
そのため健康診断などで行った超音波検査で、偶然に見つかることもあります。
消化器症状が見られる
胆泥が増えてくると、胆嚢に炎症が起こり以下の消化器症状がみられるようになります。
- 元気や食欲が落ちる
- ウンチが軟らかいか水っぽい
- 黄色や緑色っぽいものを吐く
- 熱っぽくなる
- 腹痛を起こす
胆泥が増えると胆嚢の中の胆汁の量が少なくなります。
その結果、フードを食べた時に脂肪の消化がうまく出来なくなってしまいます。
そして消化器症状がみられるようになってしまいます。
さらに併発症がでる場合もあり、
などを引き起こす可能性もあります。
黄疸や腹膜炎を起こす
胆泥症での一番の問題は、胆嚢から流れ出た胆泥が胆管が詰まってしまうことです。
胆管が詰まってしまうと、以下のような症状が見られます。
- 胆汁が血液の中に入り込み黄疸になる
- 胆泥が溜まりすぎて胆嚢や胆管が破裂し腹膜炎(お腹の炎症)を起こす
胆嚢から腸に流れ出なくなった胆汁は、肝臓に溜まります。
その結果、胆汁の成分が血液の中に溢れ出てしまい黄疸となってしまうんだよ!
胆泥が胆管に詰まると、急性胆管肝炎や胆嚢破裂を起こす可能性もあります。
その結果、場合によっては亡くなってしまうこともあります。
そのようなことが起きないよう、病状をしかりと把握しておく必要があります。
胆泥症の原因
以下のようなことが、胆泥症が起こる原因とされています。
また胆泥症の裏には、ホルモン異常などの病気が隠れていることがあります。
胆嚢炎から
胆嚢炎は文字通り、胆嚢に炎症が起こることです。
胆嚢炎を起こす原因としては細菌感染や、腸炎、膵炎、肝炎などあげられます。
胆嚢炎を起こすと、胆汁の性状が変わるため胆泥ができやすくなります。
その結果胆泥症を起こします。
内分泌疾患から
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患になると、胆汁の性状が変わるため胆泥症になりやすくなります。
胆泥症の主な治療法と費用
治療を行うに際しては胆泥の状態などを知るため、超音波検査や血液検査を行います。
しかし胆泥が溜まると、胆嚢の中に白っぽい「半月状やモヤモヤした不定形」のものが見られます。
胆泥症が見られた場合には、同時に他の病気があることもあるため肝臓などもチェックします。
胆泥症の治療は、原因や併発症によって異なります。
特に症状もなく、また肝臓の障害も併発症もない場合には経過を観察することもあります。
胆嚢に作用する薬を使う
胆汁の分泌を増やしたり、胆嚢からの胆汁の排泄を促す利胆剤を使います。
また胆嚢を収縮する作用を持つ、エリスロマイシンなどを使います。
肝臓を守る薬を使う
肝臓に障害を伴っている場合には、その治療を行います。
また肝臓の機能を改善させるために、タウリンやスルフォアデノシルメチオニン(SAMe)などを使います。
抗生物質の投与
胆嚢炎や膵炎などが関わる場合には、抗生剤を使用します。
基礎疾患の治療
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症がある場合には、その治療を行います。
フードを変更する
胆汁は、脂肪の消化吸収に関わっています。
そのため胆嚢の負担を減らすためにも、フードを低脂肪のモノにします。
胆泥症に効果のある療法食も出ていますので、興味のある方はご相談ください!
外科的な治療を行う
以下のような場合には、手術により胆嚢を切り取ってしまいます。
- 投薬などの治療を行っても胆泥症が進行する場合
- 胆泥が溜まり過ぎてしまい胆嚢が大きくなっている場合
- 胆嚢の壁が薄くなってしまっている場合
- 胆管閉塞の危険が高い場合
外科手術が必要な場合には、外科の動物病院を紹介しております。
治療費
症状の違いや使用する薬、治療期間の違いから治療費が変わります。
また症状が重度になっている場合には、治療期間も長く治療費もかかってしまいます!
胆泥症の予防方法
適切なフードの選択
栄養バランスのとれたフードにします。
できれば、低脂肪のフードを使用することが効果的です。
基礎疾患を治す
胆泥症の原因となる病気の早期治療は大切です。
例えは、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などです。
定期的な健康診断を受ける
胆泥症は無症状なことも多いため、早期発見することが大切です。
そのため、定期的に健康診断を受けることが重要です。
早めに異常が見つかれば、処置も早くでき重症化を防げます。
胆泥症になりやすい犬種
- 中高齢の犬
- 高脂血症の犬
- シェットランド・シープドッグ
- ミニチュア・シュナウザー
- コッカー・スパニエル
- アメリカン・コッカスパニエル
- ビーグル
- シーズー
- チワワ
まとめ
胆泥症は犬によく見られる病気です。
また早めに見つけられれば、場合によっては経過観察で済む病気でもあります。
そのため早く見つけ出すことが大切です!
気になる症状が見られたり心配なことがあったなら、早めにご相談くださいね!
胆泥症が悪化しないように、お手伝いをいたします!