耳の印

2019.08.15

公園や道路で出会った猫ちゃんの耳先が切れているのを、見たことがありませんか?
猫の集会に参加してる子たちの多くが、その耳先に切れ込みはあるなんて聞いたこともあります。

そんな猫ちゃんを見ると
「ケンカで切れた?それともケガ?」
「耳先だけ綺麗に切れてるなんて、なんで??」
と思うヒトもいるでしょう。

実際にケンカで耳に傷してる猫ちゃんは結構見かけます。
しかし、その多くは綺麗な三角ではなくズタズタになってしまっています。

あの三角の切れ込みは、ヒトが入れたものなんです。
もちろん虐待ではありません。

わたくしどもの獣医師会でも、愛護センターで『地域猫の不妊・去勢手術』を行った際に、同じような三角の切れ込みを耳の先端に入れてます。
この耳カットは、飼い主のいない猫ちゃんに不妊・去勢手術を行なっているという印なのです。
また耳の形から「さくら猫」とも呼ばれており、オスが右耳メスが左耳に印が入っています。

この耳カットには、大きな意味があります。
それはメスの猫ちゃんが捕獲されたときに、まだ手術を受けていないと思われて再びお腹を切られるということが無いように、手術済みであることが一目でわかるようにとのことからです。

オスの場合は手術の有無は見ればわかるのですが、メスの場合は手術跡が薄れて見えない場合もあるからです。
また耳の切れていない子だけを、捕獲すれば良いことにもなります。

これ以上繁殖しない猫として地域で見守っていくと同時に、不幸な子猫が産まれてしまわないための取り組みなのです。
つまり殺処分されてしまう不幸な命を少しでも減らすため、野良猫がこれ以上仔猫を産まないようおこなっていることなのです。

この事業は、ヒトと地域の猫ちゃんが共存するために行なっていることなんです。
もし耳に印の入った猫ちゃんを見かけるようなことがあったら、優しく見守ってあげて下さい!

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