表裏一体
2019.09.24
秋になると、田んぼや畑で咲いている赤い花が目立つようになります。
この花は秋分の日の頃に咲くので、彼岸花と呼ばれています。
別名は曼珠沙華とも言われ、独特の形をしています。
また花が咲き終わってから葉っぱが出てくる、ちょっと変わった花です。
この彼岸花、見た目は綺麗なのですが毒を持つ花としても知られています。
毒は球根のような部分に多く含まれいるのですが、全草有毒で花や葉、茎にも毒を含んでいます。
この球根のような部分は「鱗茎」と呼ばれ、地下茎に肥大した葉っぱや葉の一部が重なり合って球状になったこのです。
毒があると知らずに食べてしまうと、吐き気や下痢、めまいや腹痛などの症状が出てしまいます。
また重症化すると、中枢神経の麻痺や呼吸困難といった怖い症状を引き起こします。
もし食べて症状が出た場合は吐き気止めや下痢止めなど、その症状に対しての治療を、いわゆる対症療法を行い回復を待ちます。
ただ触っただけでは中毒にはなりませんので、そこはだいじょうぶです。
しかしワンちゃんなど、散歩の途中で口にしないとは限りません!
まぁ〜毒の多い鱗茎を地面から掘って食べることは無いでしょうし、もし花や葉を食べたとしても致死量としては多くはありません。
でも、その毒に対しての感受性もありますから食べないことに越したことはありませんよね!
昔のことですが、その毒のある鱗茎を毒抜きして食べてた時代があるそうなんです。
イモと同様に彼岸花の球根からデンプンを取り出して、農作物の取れなかった時や戦時中に非常食として食べてたそうなんです。
彼岸花の鱗茎は、石蒜(せきさん)という名の生薬として利尿や去痰剤として使われます。
根をすりつぶしたものを張り薬にすると、むくみや関節痛がよくなるとかも。
また毒の成分の一つが、アルツハイマー病の治療薬としても使われます。
「毒と薬は表裏一体」、体に良くない影響を与えるものが「毒」、体に良い働きをするものが「薬」と分類する、ヒトの都合での分け方なんです。