ナメクジ駆除剤中毒
2007.06.04
夜、入り口のドアがガチャガチャと揺すられ、インターホンが鳴り響いた。
見ると全身が大きく揺れ、ひどい痙攣を起こしてる。
飼い主さんが発見したときには異常興奮状態で、飛び跳ねていたそうです。
体温は40度以上
全身が痙攣
呼吸は速く、しかも除脈
血圧は低下し、全く立ち上がる事ができない
話から、ナメクジ駆除剤中毒…
250グラム入りの薬を買ってきて、その半分を散布した直後に発作が出たらしいんです。
散布量が約120グラム…そのうち何グラムを食べたのでしょう?
「レジの横に置いてあって、安かったから…
ついつい買ってしまった…
こんなに危険な薬だなんて…」
飼い主さんは泣きながらの反省です。
ナメクジ駆除剤の成分はメタアルデヒドと言われる薬。
このメタアルデヒドは、人の小児の場合では約3g食べると死に至る怖い薬なのです。
少量で激烈な症状を示し、解毒剤が無いため死亡率が高い危険な薬なのですが、犬が好きな風味なのか中毒が多く見られます。
少量の場合は、嘔吐や下痢などの胃腸症状で終わってしまう事もあります。
しかし大量に飲んでしまった場合は、このように痙攣などの神経症状を起こします。
そして最悪の場合には、肺水腫を起こし呼吸困難になったり、意識障害を起こし死亡します。
とにかく、ナメクジ駆除剤が体内に吸収されるのを防がなくてはなりません。
痙攣を抑える注射をし、ナメクジ駆除剤を吸着させる薬の投与です。
そして肝臓を助け、解毒を促進する治療の開始です。
来院したのが夜ですから、朝まで不休の治療が続きます。
翌朝、飼い主さんの面会時にはまだ意識も遠く横になったままです。
そして細かな痙攣。
でも昼には立ち上がろうと努力するように、なって来ました。
その姿は、泥酔状態のおじさんみたい。
無処置だと、食べてから24時間から36時間後が一番危険な状態に陥るのですが、ナメクジ駆除剤が全部身体に吸収される前に吸着剤を投与できたのが良かったのでしょう。
退院後は、肝障害の治療経過を観察しながらの生活です!
ナメクジは庭で大切に育てられた花の葉や茎、花、蕾などを食べ荒らします。
しかも昼間では無く夜間に活動するのですが、犯罪を犯した証拠として足跡まで残す大胆な奴です。
そんな奴らを撲滅するのに使用されるのが、「ナメクジ駆除剤」
ナメクジ駆除剤は、メタアルデヒドという成分を含んだ農薬で、液体、散剤、顆粒の形態があります。
これを植物のまわりに撒いたり、直接散布して使用します。
ナメクジ駆除剤を食べたナメクジは、その成分であるメタアルデヒドがアセトアルデヒドに分解し二日酔いになるのです。
そして動けないでいるところを、昼間の強い日差しに照らされ干からびてしまうのです。
このナメクジ駆除剤は、犬や猫にとって中毒を起こす怖い薬なのですよ!
万が一ナメクジ駆除約を食べた場合は、吐かせてはいけません。
痙攣を誘発する恐れがあります。
またメタアルデヒドは牛乳で吸収が促進されるので、牛乳は飲ませてはいけません
食べた場合は症状が見られるまで時間がかかりますので、症状が無くても直ちに受診して下さいね!