院長ブログ
会陰ヘルニア
2008.10.20
ウンチが出ない…そんなことで来院した
なるほど肛門が腫れた状態で、腸の中に便がありそうだ
肛門から指を入れてみると、直腸の右側に便が溜まっている
直腸の肛門に近い部分が部屋状になり、横部に固く膨れている
これは直腸憩室と呼ばれている
便がどんどん溜まり、腸は拡張し膨らみが大きくなっていく
そこに便が詰まってしまい、排便できなくなっているのだ
これは骨盤の筋肉や筋膜が脆弱くなった結果、起こる症状として知られている
また骨盤内やその周辺の臓器が尾の方向に移動し、腸が弱くなった部分に入り込むこともある
これらは「会陰ヘルニア」とも呼ばれている、病気である
膀胱がヘルニア部に入ると、オシッコが出なくなる事もある
この会陰ヘルニアは、片側性のこともあれば両側性のこともある
ただ片側性の場合は、そのほとんどが右側に起こる
そして会陰ヘルニアは、去勢していない雄犬に多く起こるのである
今回は、便秘と排尿困難での来院である
やはり…
右側の片側性の会陰ヘルニア
しかも去勢していない雄犬である
会陰部の腫れは固い
X線写真を撮ると、直腸は右に曲がり、膀胱は肛門の横に逸脱している
尿道にチューブを入れオシッコを全部出すと、腫れは軟らかくなった
しかしオシッコが無くなっても、波動感がある
矢印の部分が膀胱である
確認しやすいすいように、腸と膀胱に造影剤を使用している
腫れた部分を優しく押すと…
腫れた中の物がス?ッとお腹の中に入っていく
その動きから、明らかに脂肪組織である事が想像できる
オシッコも出ない状態であるので、早々の手術が必要である