院長ブログ

AIM

2021.01.15

このところ猫ちゃんの来院数が増え、猫担当のスタッフはモテモテです。
今日も猫ちゃんの健康診断やらワクチン接種、いや〜多かったです!

ギネスブックによれば、猫ちゃんの最高長寿は38歳、
だから健康に留意して生活すれば20歳も迎えても元気でいられるはず・・
飼い主さんもスタッフも、皆がそう願っています。

まだまだ若いと思っても、1日過ぎれば1日老化していきます。
日々老化していくのですが、それは猫ちゃんも同じですよね!

猫ちゃんが老齢を迎えると、とにかくケアが大変なのが慢性腎不全です。
何が大変か?
それは水を飲ませること、食べさせる事です。

「食べない!!」
「食べさせるのが大変!」
「昨日は食べたフード、今日は食べない!」
「水も飲むの少ない」
「飲んでも食べても、吐くことが多い!」

そのようなことで・・
いかに食べさせるか、あれこれと皆さん悩み頑張っています。
そんな食欲が落ちてしまう代表格的なのが、慢性腎不全です。
しかも死亡する率は、猫ちゃんの方がワンちゃんより高いことが知られています。

それは猫ちゃんは何らかの原因により腎臓障害を患うと、腎臓の機能が完全に回復しないまま慢性腎不全に陥ってしまうからなのです。
この腎臓の機能が回復しない原因は・・・
猫ちゃんの体の中にある、AIMと言うタンパク質に問題があるからなんです。

腎臓が悪くなると、オシッコを作る尿細管の中の死んだ細胞=ゴミなどがたまります。
そのまま状態が続くと、腎臓は目詰まりを起こしてしまいます。
そうさせないのが『AIM』です。

AIMは、尿細管の中のゴミなどにくっつきます。
そしてそれを目印に、白血球の仲間であるマクロファージがゴミを処理し尿細管の詰まりを解消していきます。
つまりAIMは、マクロファージにゴミの場所を教えているのです!

AIMはヒトなどでは正常に働き、すぐに腎臓内のゴミが処理されていきます。
しかし猫ちゃんでは、その肝心のAIMが正常に働いてくれないのです!
そのためゴミの処理が行えず、詰まりが治りません。
その結果、腎臓の機能は元に戻らず慢性腎不全となってしまうのです。

猫ちゃんのAIMが正常に働けば、腎臓病も悪化も遅らせ長生きできるようになることでしょう!
そのような日が早く来ることを祈りながら、今日も猫ちゃんの腎不全を治療しています。

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