院長ブログ

肥満細胞腫って太ってるから出来るの?

2021.12.17

お腹に出来モノ・・・腫瘤がジクジクしてきて血が出るとのこと。
診ると、そんなに大きくないけど腫瘤の表面が濡れた感じになっている。

チョット嫌だな〜と思いつつ腫瘤の検査を行った。
そして検査センターから報告や届いた。
あらららら・・・

飼い主さんに、検査結果の説明である。

Dr.Nyan
Dr.Nyan
肥満細胞腫でした・・・

と切り出すと、決まって帰ってくる返事がある。
うちの子、やっぱり太ってますよね!
肥満が原因です?

ワンちゃんの飼い主さん
ワンちゃんの飼い主さん
いやいやいや!
違う違う、違うぞ!
わたしゃ肥満じゃ無いってサ!!

肥満細胞腫とは体の中の「肥満細胞」という細胞が、腫瘍化したものなんです。
決して、太っているからではありません!

肥満細胞腫は犬の皮膚や、皮膚に下に多い悪性の腫瘍なんです。
しかも全身に転移してしまうこともあります。

「肥満細胞」とは免疫に関する細胞の一種です。
そのため、体の中に入ってきた異物に対し て反応を起こします。
しかも、その時に肥満細胞の中に溜め込んだ「ヒスタミン」を放出します。

このヒスタミンは、体に悪さをしてしまう物質です。
例えば胃潰瘍です。
最悪、ショック状態になる ことも稀にあります。

「肥満細胞」は、早めに切除 すれば治るものも多くあります。
しかし中には、命を脅かすものもあります。
そのため肥満細胞種は悪性度により、三つに分けられています。

【グレード 1】
最も悪性度が低い肥満細胞腫です。
皮膚の表面にできた腫瘍を取り除けばOK!

【グレード 2】
悪性度は中程度の肥満細胞腫です。
腫瘍と周囲の組織を広く完全に取り除ければ治るタイプです。
しかしリンパ節や脾臓、肝臓などに転移することがあります。

【グレード 3】
最も悪性度の高い肥満細胞種です。
成長が早く急速に進行し、体内のあちこちに転移してしまうタイプです。
腫瘍と周囲の組織を広く取り除いても根治は難しいと言えます。
そのため、治すのがとても難しい肥満細胞腫です。

このグレードは手術前には目安は付けられますが、正確には摘出した腫瘍を検査してわかります。
今回の場合は症状や見た目などからグレード1としましたが、ある程度広範囲に切除しました。

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