院長ブログ

『CAT』と言っても猫じゃ無い

2019.05.01

癌の治療方法として知られているのは「外科手術、抗がん剤などの化学療法、放射線療法」の三つです。
しかしこれらの治療方法は、それなりの効果が期待できても副作用や大きな侵襲性などのリスクを伴います。

そこに第四の治療方法として『免疫療法』を行う施設が増えてきました。
当院でもいくつかの免疫療法を行なっており、その治療方法の一つに『CAT』があります。
『CAT』とはCD3 Activated T Lymphocyteの略です。

■免疫とは
 体外から侵入するウィルスや細菌、異物などから体を守る自己防御システムです。
 この免疫システムには、体の中にできた腫瘍も異物と判断して攻撃するパワーももっています。

免疫療法は、癌に対して有効であるという『学術的証拠』がある治療方法のひとつです。
しかしこの治療方法だけで癌を退治することは難しいため、他の治療と合わせて行うこともあります。

免疫療法は、他の治療方法と併用すると相乗効果により治療効果が高いことがわかっています。
また既存の治療法で問題となる、副作用を軽くするという効果ももっています。
この治療が他の治療方法と大きく違うのは、体に対する負担が少ない点です。

免疫療法は、癌の末期の子に使うことが多い治療方法です。
末期になると体力や免疫力が落ち、併発症のリスクも高くなっています。
また全身に転移してることもしばしばです。
このような場合に免疫療法を行うと、癌への効果だけでなく併発症を起こす細菌やウィルスから身を守ることもできます。

この治療には動物自身の免疫力を高めるだけではありません。
痛みなどの症状を軽くしたり元気や食欲が戻るなど生活の質(QOL)の改善が見られることも特長の一つです。

■CAT 療法
・治療を受ける子から採血します。
・血液中に含まれるリンパ球を取り出します。
・培養室でガン細胞と闘えるように活性化させます。
・一定の温度と湿度、二酸化炭素濃度を保つことのできる培養器内で増殖させます。
・培養し増殖したリンパ球を、静脈点滴で体内に戻してあげます。

培養の工程に2週間を要します。
そのため一般的には2週間サイクルで治療を行い、経過をみながら治療を続けていきます。

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