院長ブログ

的中!

2020.11.17

先日、咳の出る子が来院しました。
聴診や検温、レントゲンなどの検査の結果、頭の中をよぎるモノが・・
そこで、PCR検査の依頼です。

検査の結果は推察したとおり、予感的中
Bordetella bronchiseptica(ボルデテラ・ブロンキセプティカ)への感染、
しかも犬呼吸器コロナウイルス (CRCoV)との混合感染でした。

早々に、治療の開始です!
双方とも犬に感染すると、咳が出ます。
そのため咳止めの吸入薬や、さらなる感染症予防のため抗生物質を使います。
また点滴などを行い、体力と免疫力を落とさないようにします。

ボルデテラ・ブロンキセプティカは犬や豚、牛、猫、ウサギなどの哺乳類に感染します。
またヒトにも感染するため、人獣共通感染症を起こす菌として知られています。
咳や唾液などの飛沫により感染しますが、ヒトへの感染は少ないとはされています。

ちなみ・・豚が感染すると鼻が曲がり顔が歪む慢性呼吸器病を起こします。
咳やクシャミならまだしも、顔が変形しちゃうんですよ?
超〜可哀想なことをする菌ですよね!

ボルデテラ属の仲間には、百日咳菌として有名な、Bordetella pertussisがいます。
百日咳菌に感染すると短い咳が連続して出、息を吸う時に「ヒューヒュー」という音がします、
治るまでに約100日間も症状が続くことから、百日咳と呼ばれたのです。

犬呼吸器コロナウイルス (CRCoV) は、コロナウイルスの中の一つです。
コロナウイルスは、ヒトやだけでなく犬や猫など他の哺乳類や鳥類などに感染します。

犬や猫に呼吸器症状を引き起こすのは、αコロナウイルス属です。
今回のCOVID-19の原因であるSARS-CoV-2は、βコロナウイルス属です。
そのため犬や猫の呼吸器症状タイプと、今回のCOVID-19には関係がありません。

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