使命
2022.12.24
仔犬がやって来た。
来院理由は、下痢である。
そして下痢の原因は、検査の結果「ジアルジア」でした。
このジアルジアとは、単細胞生物である原虫の一つです。
原虫は眼で見ることが出来ないくらい、とっても小さな生き物です。
そしてジアルジアに感染することで発症するのが、ジアルジア症です。
ジアルジア症は犬だけでなくヒトにも感染する『人獣共通感染症』の一つです。
ジアルジアはウンチの中に住むため、感染した犬が散歩の時などにウンチをすれば周囲にまき散らしてしまいます。
しかもジアルジアは、地面の中で長期間生存してしまうんです。
そのためジアルジアで汚染された場所に行けば、また感染してしまいます。
ただジアルジアに感染しても下痢にならず、無症状の子が居ます。
そのため無症状であるから、大丈夫とは言えませんよね?
無症状だから安心と思っても、他の子への感染させてしまうんです!
これは公衆衛生上、とっても大きな問題です。
何せヒトにも感染することがある、悪~い虫ですからね!
ジアルジアはウンチを顕微鏡検査しても、なかなか見つけ出されません。
特に新鮮なウンチでの検査以外では、ジアルジアを見つけるのは難しいんです!
そのため直腸の中のウンチを直接採取して、検査を行います。
また『ジアルジア抗原』を検出する検査を行うこともあります!
子犬・子猫など新しく家族に迎えた時!
「良いウンチだから大丈夫!!」とは言えませ!
下痢の症状が無くても『ジアルジア』に感染していないとは言えません!
繰り返す下痢!
治りづらい下痢!
『ジアルジア』に感染してる場合もありますので、検査しましょうね!
『ジアルジアは、ヒトにも感染します』ので、注意ですよー
「動物の愛護及び管理に関する法律」では・・・
「動物とヒトの間で感染する病気の知識を持ち、予防することが飼い主さんの責務であること」とされています。
人獣共通感染症は約150種ほど知られてますが、日常の診療の中では約50種が見られています。
でも・・・
そんなにたくさんの感染症の知識を持つことは、大変ですよね?
でも皆さんが「人獣共通感染症」になるのも困ります。
そこで我々獣医師や動物看護師が、それらの知識を皆さんに差し上げなくては!
病気を正しく理解し、予防する知識ですよ!
そして「太く長く明るく楽しく」暮らせるように日々の診療の中で頑張るのが、動物病院の使命だと思ってます。