院長ブログ

卵巣のう腫

2020.02.05

体内には100種類以上のホルモンが分泌され、体の様々な機能がうまく働くようになっています。
ホルモンには男性にしか分泌されないモノ女性しか分泌されないモノもあり、これを性ホルモンと言います。

性ホルモンの中の女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。
これらのホルモンは、卵子を育てたり子宮の状態を整えたりしています。

そんなホルモンを出す卵巣は、腎臓の近くで子宮の先にある小さな組織です。
しかも病気になっても症状が現われにくいことから、肝臓と同様に「沈黙の臓器」ともいわます。

そのような卵巣ですが、ワンちゃん猫ちゃんの世界では手術で取ってしまうことがほとんどです。

それは乳ガンの予防からです。
乳ガンは、ワンちゃんのガンの中でもっとも多いとされています。
しかも乳ガンの多くは、女性ホルモンが関係するとも言われます。

正常の乳腺細胞のガン化には、女性ホルモンが大きく影響を及ぼします。
しかも発情を繰り返し乳腺が完成してしまうと、卵巣摘出手術を行っても乳ガンの発生率は手術をしていない子と変わらなくなります。

そのような卵巣には、腫瘍もみられます。
今回の子は「卵巣のう腫」でした。
これは卵巣から分泌される、透明の液体がたまったものです。
綺麗に切除し病理検査をしますが、多くの子は良性です。

卵巣のう腫は大きくなりすぎると、捻転を起こしてしまうこともあり注意が必要です。

ちなみエストロゲンは肌に潤いと弾力をあたえ、また自律神経のバランスを整えるため「若返りホルモン」とか「美人ホルモン」いわれています。
プロゲステロンは皮脂量を増やしニキビやシミの原因となったり、感情の起伏にも悪影響を与えるので「ぶすホルモン」とも‥‥

これらのホルモンは、ヒトでは一生の分泌量がスプーン一杯にもならないんだそうです。
こんな極少量でも、体調に大きな変化を及ぼすわけですもんねぇ〜
ホルモンの影響って、すごいですよね!

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