院長ブログ

先制鎮痛(先取り鎮痛)

2020.02.22

手術後や怪我をしたときに受けた傷は痛みます。
しかし時間が経って傷が癒えていけば、痛みは自然に消えていきます。
このような傷を受けた後の痛みを「急性疼痛」と言います。
痛いのは止めてあげないと、辛いですよね!

痛みが続くと、様々なことが起きてしまいます。
例えば、息が荒くなったり血圧があがったりします。
また免疫の状態や傷の治りが悪くなるなど、何らかの影響がでてきます。
そのようなことが起こらないためにも、適切な処置を行う必要があります。

怪我など予測不能の時は出来ませんが、手術の時などは事前に痛みに対しての処置ができます。
これを『先制鎮痛=先取り鎮痛』と言ます。
手術など痛みを伴う処置を行う前に先制鎮痛をしておくと、辛さを感じさせなく処置が行えます。


<シロちゃん頭のシコリの病理検査のため、無痛処置して切りました!
ただ、お肌が超弱くて弱くて傷が汚い感じに‥‥ゴメンね!>

実際に痛みを感じてしまう前と、痛みを感じてしまった後で同じ鎮痛処置を行っても、その効果は違うことが知られています。
ヒトを含む動物は、一度強い痛みを感じてしまうと痛みに敏感になってしまいます。
そのため痛みをさらに強く感じてしまう、つまり痛みが増幅されちゃうんです!

これは、全身麻酔を使っての手術でも同じことです。
そのため、手術前に痛みを取り除く処置として鎮痛剤を投与します。
手術の時の不安や緊張を取り除くため、催眠や精神安定作用のある鎮痛剤を併せて使用することもあります。
このように効果や作用時間の違う鎮痛剤を、うまく組み合わせて使うことにより、手術中・手術後に痛みからのストレスが無いようにしてあげます。

「全身麻酔をしてるのに、痛いの??」
と、時たま聞かれることがあります。

全身麻酔は、眠らせる薬ですよ〜
我々も、睡眠時にぐっすり眠っていても痛みは感じる時ってありますよね?
歯が痛くてとかお腹が痛くてとか、経験ありませんか?

全身麻酔薬は意識が無くなり動かなくなるのですが、痛みは感じます。
痛くても、動けないだけなんですよ〜
全身麻酔と、鎮痛剤は別に考えて下さいね!
別々に考えるからこそ、安心安全な手術が可能になるんです。

もし鎮痛剤を使わないで手術したら、全身麻酔が醒めたら激痛に涙涙でしょうね。
手術中も手術後も、そのようなことが無いよう十分に心がけなくてはなりません。
そうすることで手術後に食欲が出るのも早く、回復も退院も早くなります。
いくら手術が上手でも、痛みを与えては本当に上手とは言えませんもんね!

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