院長ブログ

毒蛇は どこじゃ

2019.08.07

「犬が怪我して、血を流してるんです!」
電話の向こうの声は、焦りでいっぱいです。

「事故ですか??」
来院までの間に、飼い主さんができることがあります。
出血の状態や状況に応じて救急処置が違いますので、聞き取りが大切です。

話から散歩中に、竹か何か踏んだと言うことである。
「出血部位を押さえて、血を止めて下さい!」
そう指示して、来院まで待機です。

待つこと半刻、来院し緊急対応です!
診ると小さな傷口が2個。
その周辺部が内出血して、パンパンに腫れあがっています。
しかも、みるみる皮膚の色が変わってきました。

マムシの毒は、血液中の血小板を減らしてしまうため止血する力が弱くなります。
しかも出血作用もあるため、血液が血管から漏れ出てしまうようになります。
今回の子は、ちょっとひどく皮膚の表面から血が滲み出てきました。

症状から、飼い主さんの言う「何かを踏んだらしい」の何かは。。蛇。
「蛇に噛まれてますよ? 症状からマムシと考えられます!」

「マムシに噛まれると、死んじゃうと思いますよね?」
「解毒剤は?血清は?」
マムシの噛まれた子の飼い主さんの多くの方は、焦ります。
ヒトは危ないかもですが、今までワンちゃんを治療していて死んだ子は居ませでした!

でも油断はいけません!
実際には、マムシの毒はハブよりも強力といわれています。
しかしマムシの毒は強力でも、噛んで吐き出す量が少ないためハブよりは軽症で済むんだそうです。

ジメジメ暑々の夏となり、野山の草木の中に住む虫たちも活発に活動する時期になりました。
そのような自然の豊かな場所には虫たちだけで無く、色々な動物たちも住んでます。
そのような夏にカブトムシが出てくるなら嬉しいのでしょうけど、蛇も出てくるときもあります。

蛇って、結構身近にも居ます!
ワンちゃんが良く噛まれるのは、鼻の周りや顎など顔がほとんどです。
草の中に居る蛇を覗き込んでしまうんでしょうね。
そして、驚いた蛇が食いついちゃうんです。

マムシは沖縄を除く全国に住んでいます。
あの冬の寒い北海道にも居ます。
しかも北海道のマムシは、関東のよりも大きかったように思います。

このマムシは漢方薬としても有名です。
マムシの皮を剥がし乾燥させたものが反鼻(はんぴ)で滋養強壮に!
胆嚢を乾燥したものが蛇胆(じゃたん)で、やはり滋養強壮に!
ちなみ反鼻より蛇胆の方が、滋養強壮効果は大きいそうです。
「マムシドリンク」には、これらが入ってるとか。。。

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