【急性胃炎】猫の急性胃炎とは?症状や治療法を解説
2021.06.17
吐くことが多くなった!
そんな症状がみられたら「胃炎」を引き起こしているかもしれません。
どうしたのかしら?
胃炎かもしれないから一緒に頑張って治そうね。
口から胃へは一方通行、しかも口は食べたものを出す所ではありません!
その一方通行を無視した『嘔吐』と言う症状の裏には、とても大きな問題が隠れています!
吐くのは気にしなくても良い、そうは思っていませんか?
それって大間違いですよ!
嘔吐は一過性の胃炎から重篤な病気まで、様々な病気で普通に見られる症状です。
嘔吐の原因は、大きく分けて二つ「胃などの消化器系の問題」と「消化器系以外の問題」によるものがあります。
ここでは「消化器系の問題」の中の『胃炎』、特に猫で多い『急性胃炎』の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
※当記事は猫の嘔吐物の写真を参考画像として載せています。苦手な方はお控え頂くか、十分注意してご覧ください。
もくじ
急性胃炎の症状
『胃炎』は胃の粘膜に炎症が起き、吐くなどの症状を起こす病気です。
『急性胃炎』はさっきまでは元気で食欲もあったのに急に吐き出してしまった、このような症状が見られます。
しかも『急性胃炎』は、通常は数日〜1週間以内に症状が治まります。
もし症状が1週間以上も続いてしまう場合は「慢性胃炎」となってしまっていますので、注意しましょう。
まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!
嘔吐
嘔吐は、急性胃炎でよく見られる症状です!
しかも繰り返し嘔吐することもあります。
また嘔吐の後などに、よだれを流すこともあります。
透明の胃液や、黄色い胃液を吐くこともあります
血の混じった胃液を吐くこともあります。
意味が全然違うんで、その違いを説明するね!
『嘔吐』は、胃の中のモノが口から吐き出されることを言います。
嘔吐するときには、お腹を大きく動かしながらゲーゲーと下を向き吐き出します。
吐いたモノは、消化が始まっている状態です。
『吐出』は、食べたものが胃の中に入る前に吐き出されることを言います。
吐出するときには、顔を下げず前に飛ばすように吐き出します。
吐いたモノは、消化されていません。
吐出はフードを一気に食べる猫によく見られる症状で、多くの場合は吐いた後も元気で普通にしています。
吐出の場合は胃炎である可能性が低いと言われています。
嘔吐か吐出かは、猫の吐く様子や吐いたモノで判断してみましょう。
食欲がなくなる
逆流性食道炎はフードと一緒に吐き出した胃酸で食道が傷つき、炎症を起こしてしまう病気です。
そのため食道に違和感を感じ、食べ物を飲み込みづらくなります。
また痛みから食欲が落ちてしまったり、食欲が無くなってしまうこともあります。
脱水
食欲がなくなったことで、水も飲まなくなり、その結果脱水になる場合もあります。
急性胃炎の原因
猫に胃炎が多い理由は、猫の『性格』にあります。
- 紐など細いもの好き
- グルーミングをする
- 葉っぱを齧るのが好き
猫が急性胃炎を起こす原因には、以下のようなものがあります。
また原因によっては、急性胃炎から慢性胃炎となってしまう場合もあります。
誤飲・誤食
猫は予測不能の行動をとることが多い動物です。
その中で気を付けていても起こってしまうのが「誤飲・誤食」です。
「誤飲・誤食」とは、食べてはいけないものを飲んだり食べたりしまうことです。
紐:ひも
猫は紐で遊ぶのが大好きで、しかも飲み混んでしまうこともあります。
また糸や毛糸、リボンなど細長いものも注意しましょう。
毛
毛繕いをしたときに、毛を飲み込んでしまいます。
飲み込んだ毛は、胃の中で丸い毛球となってしまいます。
毛球は、丁寧に毛繕いをする猫や長毛の猫に多く見られます。
猫草
毛球を吐かせる手助けのために食べさせると言います。
しかし食べさせ繰り返す嘔吐により『逆流性食道炎』の原因にもなっています。
観葉植物
本当に、葉っぱを噛むのは大好きですよね!
観葉植物の中には、中毒を引き起こすものもあるので注意しましょうね!
寄生虫
回虫、胃虫などの寄生虫の感染によります。
これらは経口感染、つまり寄生虫の卵を口にしたことにより感染します。
ウンチを直接口にする機会が無いと思っても、実は玄関でウンチを踏んでしまった靴から感染してしまったこともあります。
外に出ることが無いから感染は無いと思わず、注意してくださいね!
フード
胃炎はフードが原因で起こるケースもあります。
例えば、食べ慣れないものなどを食べたときや、新しいフードに変えたときに見られます。
ストレス
胃炎はストレスも原因の1つです。
例えば、
- ペットホテルに預けられた時
- 来客や子どもが遊びに来た時
など、心が落ち着かず緊張してしまったときやいつもの居場所に居られなくなった時などに起こります。
急性胃炎の主な治療法と費用
急性胃炎はただの胃の病気と思いきや、実に奥深い病気なんです。
しかも繰り返し発症することも多い病気です。
原因や症状によって治療方法は違いますが、異物を伴わない一般的な急性胃炎の治療期間は3日〜1週間です。
また軽度の場合には、治療しなくても自然に治ってしまうことがあります。
投薬
吐き気は辛いですよね!
まず辛さを和らげてあげるために、症状に応じて飲み薬か注射を使用します。
嘔吐を止める薬や、胃酸の分泌を抑える薬などを使用します。
寄生虫から胃炎を引き起こしている場合には、駆虫剤を飲ませます。
サプリメント
毛球症が疑われる場合には、毛球をウンチと一緒に出してしまうサプリメントを使用します。
輸液
嘔吐によって脱水を起こしている場合には、失った水分を補うため輸液を行います。
嘔吐がひどく飲み薬を飲ませられる状態でない場合には、入院での治療を行うこともあります。
手術
誤飲・誤食の場合には、内視鏡や手術で異物を取り出すこともあります。
その際には全身麻酔を必要とします。
食餌療法
食欲の無い状態が続くと、体が弱まってしまいます。
まずは何でも良いので「食べたい」と興味を持ったモノを与えてみます。
また「食べたい」気持ちを持たせるようにすることも必要です。
食べることで、病状の回復を早めてあげることができます。
そのためには胃に負担のかからないようにフードを少量から与え始め、徐々に食べさせる量を増やしていきます。
まずは消化の良いフードを与えましょう!
胃炎を起こした猫の胃は傷んでいます。消化の良いフードを与えて胃への刺激をなるべく減らしましょう。
フードは電子レンジで温めましょう!
温かなフードはニオイと美味しさを増します。
ウエットフードもドライフードも、電子レンジで軽く温めてあげましょう。
与え方を変えてみましょう!
手のひらにのせて与えてみると、なぜか食べる子がいます。
また、フードに好きな物や美味しいモノを、トッピングすると食べる子もいます。
与え方次第で食いつきが変わるので試してみてください。
その際はお手伝いしますので、ご相談くださいね!
治療費
急性胃炎の原因によって、使用する薬と治療期間が違いから治療費が変わります。
誤食誤飲を伴わない急性胃炎の場合は、診察料と投薬で治療費は3,000円〜6,000円くらいです。
しかし重度の嘔吐を伴う場合には治療期間も長くなり、その分治療費もかかってしまいます!
急性胃炎の予防方法
原因となりうることを防いでいくことが予防につながります。
誤食・誤飲をさせない
常に室内を整理整頓しておくことが大事です。
ヒトと猫では目線が違いますので、注意してください!
オモチャなどで遊んでいるときは、なるべく目を離さずにいましょう。
またオモチャなどを片付けるときには、オモチャが元の状態と同じかを確認しましょう。
寄生虫を駆除する
家から出ない猫でも、思わぬところから感染してしまうことがあります。
しかも相手は目に見えませんので、寄生虫感染症の予防は駆虫薬を定期的に飲ませてあげることが一番です。
フードの変更は徐々に行う
新しいフードに変更する場合には、徐々に増やしていきます。
例えば3日で変更するなら、初日は新しいフードを3割ほど混ぜ、二日目は6割、三日目は全量新しいフードにという感じで変更していきます。
胃のとても弱い猫は、さらに時間をかけて変更していきましょう。
ストレスには慣れる
ストレスがかかるような場合には、慣れるようにしてあげます。
例えば、来客があっても逃げ込めるような場所をあらかじめ用意してあげるなどの対策をしておきます。
胃炎になりやすい猫種
- 誤食しやすい猫
- 毛づくろいをよくする猫
- アレルギーの猫
まとめ
元気で食欲もあったのに、急に吐き出すことは珍しいことではありません。
急性胃炎は猫に多い病気ですが、気をつければ予防もできる病気です。
「吐くのはいつものこと」と思わず、気になる兆候が見られたら早めにご相談くださいね!
吐くことの無い生活が出来るよう、お手伝いします!