【カリシウイルス感染症】猫カリシウイルス感染症とは?症状や治療法を解説
2021.09.28
涙を流したりクシャミをしたり、ヒトの風邪のような症状がみられたら「猫カリシウイルス感染症」に感染しているかもしれません。
しかも眼も赤くなってきちゃうし涙は止まらないし・・どうにかして〜
簡単に感染して重症化しやすい病気だから、一緒に頑張って治そう。
猫カリシウイルス感染症は、猫ヘルペスウイルス感染症とおなじように「猫風邪」と呼ばれる感染症のひとつです。
ここでは『猫カリシウイルス感染症』の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
もくじ
猫カリシウイルス感染症の症状
猫カリシウイルス感染症の特徴的な症状は、結膜炎や鼻炎からの眼のウルウルとクシャミ、口内炎です!
症状が進むと熱が出たり食欲が落ち、最悪は肺炎になり死に至ることがあります。
猫カリシウイルスは、口や鼻から肺までの粘膜や眼の結膜で増殖します。
発熱や涙、くしゃみなどヒトの風邪のような症状を発症し、進行すると元気や食欲も消失し、肺炎を併発することもあります。
症状は猫ヘルペスウイルス感染症と似ており、その区別が難しいこともあります。
クシャミ・鼻水
猫カリシウイルス感染症はクシャミや鼻水など、ヒトの風邪の症状に似ています。
しかもクシャミがすごいため、鼻水を遠くまで飛び散らせてしまいます。
その際に猫カリシウイルスも飛び散るため、他の猫に感染させてしまいます。
また鼻が詰まってしまうこともあるため、それに伴い食欲が落ちてしまう場合もあります。
眼がウルウル
涙が流れ眼がウルウルとしたり、結膜が充血し瞼が腫れたようになります。
そして眼の周りが汚れグチャグチャになったり、眼ヤニでカピカピになったりしてしまいます。
眼や眼の周囲の不快感から眼を前足で擦るため、前足が汚れてしまうこともあります。
また結膜炎が悪化し、眼球とまぶたや結膜がくっついてしまうこともあります。
その場合、くっついてしまった部分を開けると中からドロっとした膿が出てくることもあります。
膿を出さないまま放置しておくと、眼球そのものにまで影響を与え失明してしまうこともあります。
発熱と脱水
猫カリシウイルス感染症にかかると熱が出てしまうことも多く、元気や食欲が落ちてしまいます。
鼻が詰まって食べられない上に、熱の追い討ちです!
また水を飲むことも減り、脱水傾向になります。
特に子猫は免疫力が弱いため重症化しやすいので、注意が必要です。
猫の平熱はヒトよりも高く、平均38度台くらいです。
安静にしていれば、39度以上になることはありません。
ちなみ愛猫の平熱はご存じですか?
平熱は個体差があり、測定方法によっても変わってきます。愛猫の平熱を事前に知ることはとても大切です。
歯肉炎や口の中の潰瘍
猫カリシウイルス感染症は歯肉炎や口の中に潰瘍がでることがあります。
食べるときに口を痛がるような仕草が見られたら要注意です。
その他にも、皮膚炎を起こすなど、さまざまな症状を起こすと言われています。
~Dr.Nyan ポイント~
強毒全身性猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルス感染症の中には、強毒全身性猫カリシウイルス感染症というものがあります。
呼吸困難を起こすなど、従来の猫カリシウイルス感染症に比べ、症状も死亡率も非常に高い感染症です。
また以下の併発症にも注意しなければいけない怖い感染症です。
<強毒全身性猫カリシウイルス感染症の併発症例>
・肺炎
・腸炎
・肝炎
・膵炎
猫カリシウイルス感染症の原因
続いて猫カリシウイルス感染症の原因について説明していきます。
接触と飛沫からの直接的な感染
猫カリシウイルスは、感染した猫の涙や鼻水などに多く含まれています。
そのため感染した猫との接触や、ウイルスを含んだ涙やクシャミなどの飛沫からの感染によります。
猫カリシウイルスには様々な株があるため、一生の間に幾度も感染してしまうことがあります。
特に体力が落ちたり抵抗力が弱まると、感染の可能性が高くなってしまいます。
多頭飼育の場合、感染している猫は他の猫から隔離しておく必要があります。
ヒトや器などを介した間接的な感染
カリシウイルスは体外でも生きている力が強いと言われています。
そのため、感染している猫に触った手で未感染の猫に触ってしまうと感染させてしまいます。
また水飲みやフードの器、オモチャ、ケージなどを日常的に使うものを介しも、間接的にウイルスに感染してしまうこともあります。
猫カリシウイルス感染症の主な治療法と費用
治療を行うに際し、猫ヘルペスウイルス感染症など似た症状の感染症と鑑別するため『PCR検査』を行います。
当院ではPCR検査用の検体を結膜と喉の奥からサンプルを採取し、IDEXX社に検査を依頼しております。
『PCR検査』は感染の拡大防止と、有効な治療を行うために必要な検査の一つになります。
治療には、インターフェロンやウイルス治療薬を使用します。
二次感染の疑いがある場合には、抗生物質などを使用します。
また脱水があれば、輸液療法を行います。
症状を悪化させないことが重要です。
- 体を保温して冷やさないようにする
- 眼や鼻周りの汚れを綺麗にする
- 呼吸がしづらい場合には吸入処置を行う
- 食欲を維持させるためフードを温めニオイがたつようにする
- 脱水にならないように水を飲ませる工夫をする
猫カリシウイルス感染症の治療費
通院の費用は症状や状態により違いますが、軽症であれば1週間の投薬で5000円~8000円程度と思ってください。
重症になると吸入を行なったり、場合によっては入院も必要となるため治療費もかかってしまいます!
やはり症状的にも経費的にも、早期に治療を行うことが大切です。
猫カリシウイルス感染症の予防方法
混合ワクチンを打つ
猫カリシウイルス感染症にはワクチンがあります。
しかしワクチンを接種していても、感染を完全には防ぐことができません。
ワクチンは、感染しても重症化しにくくさせるものです。
屋外に出さず屋内で飼う
カリシウイルスは、わずかな遺伝子の違いにより様々な変異した型が存在します。
特に屋外には多くの株が存在する可能性があるため、ワクチンを接種していても感染してしまうこともあります。
また屋外では、カリシウイルスに感染する機会も多くなります。
そのため屋内で飼うことにより、カリシウイルスの感染を減らすことができます。
生活環境と栄養状態を整える
猫カリシウイルス感染症は、気温が低い時期や寒暖の差が激しい季節の変わり目に多く見られます。
生活環境と栄養状態をよくし、ストレスが少ないようにしてあげて下さい。
猫カリシウイルス感染症はヒトには感染しません。
感染は、感染した猫が使用した食器などの共有などからです。
そのため飼い主さん自身の消毒も、感染の予防には重要です!
免疫力の低下を防ぐ
猫カリシウイルス感染症の予防には、免疫力を下げないことも重要です。
寒暖の差が激しい季節や、寒さが厳しい季節は免疫力の低下に気をつけます。
また環境の変化やストレス、また歯周病などの基礎疾患や老化にも注意が必要です。
免疫力を下げないように環境と食事に気を使い、快適に過ごせるようにしてあげてください!
猫カリシウイルス感染症を起こしやすい猫種
そのため免疫力アップを実践してあげてください。
- 生後2~3ヶ月の子猫
- ワクチンを受けてない猫
- 免疫力が弱まっている猫
- ストレスに弱い猫
まとめ
猫カリシウイルスは感染しやすく、しかも治療も長引いてしまうこともある病気です。
特に子猫や免疫力の落ちた猫へ感染してしまうと重症化から死に至ってしまうこともあります。
多頭飼育の場合には、蔓延してしまうことあるためストレスの少ない環境作りが大切です。
猫の最高長寿は38年、長生きせせてあげましょうね。
何か気になる兆候が見られたら、早めにご相談くださいね!