【瓜実条虫症】猫の瓜実条虫症とは?症状や治療法を解説
2022.09.06
お尻に米粒みたいな粒々がくっついている。
そんな症状がみられたら「お腹の中に虫」が寄生しているかもしれません。
頭パニック!どうにかして〜ッ!
ウンチ見てみようね
こんなのがお腹の中にいるの?
この虫は、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう:Dipylidium caninum)と呼ばれている寄生虫の片節です。
瓜実条虫という名前の由来は、成虫の片節がキュウリ(胡瓜)の種(実)ような形をしていることによります。
チョット虫を拡大してみました!
この2〜3mmから1cmくらいの大きさの片節が、100個以上も連なって瓜実条虫という1匹の虫を形作っています。
この瓜実条虫は猫だけでなく犬、またヒトにも感染することがあります。
そのような「猫瓜実条虫症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
もくじ
猫瓜実条虫症の症状
瓜実条虫の成虫は、体の長さが80cmにもなることもあります。
瓜実条虫は「サナダムシ」の仲間に属し、卵含んだ袋状片節が繋がった平べったい形の虫です。
でもどんな症状がでたら要注意なのか、確認していきましょうね!
無症状や嘔吐・下痢などの消化器症状
瓜実条虫は小腸に寄生します。
健康な猫に瓜実条虫が感染しても、無症状のことが多いと言われています。
もし万が一発症しても下痢や嘔吐などが見られる程度で、命にかかわるような状態にはなりません。
お尻を擦る
肛門の周りに瓜実条虫の片節が付くことで、肛門に肛門周囲に違和感や痒みが出ることがあります。
それを気にして、お尻を床に擦ることがあります。
【多数寄生の場合】元気がなくなる・痩せる
大量に寄生した場合には、元気や食欲が無くなったり、痩せ、また吐くなどの症状が見られることがあります。
これらは他の病気でも見られる症状です。
そのため、瓜実条虫の感染の症状と見分けることが難しいです。
猫瓜実条虫症の原因
ノミを口にして感染
瓜実条虫の感染の原因は、瓜実条虫の卵を食べたノミを猫が口にすることによります。
つまりノミの寄生により瓜実条虫が感染してしまうのです。
これも『経口感染』の1つと言えるでしょう。
猫瓜実条虫症の主な治療法と費用
偶然に、ウンチ検査で瓜実条虫の卵が見つかることがあります。
しかし一般的には、ウンチの検査で瓜実条虫の卵が見つかることは極少ないと言えます。
感染に気がくつ最大の理由は、瓜実条虫の片節をウンチの表面や肛門の周囲に付いてることによります。
駆虫薬を飲ませる
駆虫薬を飲ませて、瓜実条虫を駆除します。
瓜実条虫の駆除には、ドロンシット錠やドロンタール錠を飲ませることで行います。
回虫などの寄生虫の場合には、駆除できたかどうかはウンチの検査で卵が出てないことで確認できます。
しかし瓜実条虫の卵はウンには出てきませんので、ウンチ検査では確認できません。
駆虫薬には飲ませるタイプの薬以外に、背中に垂すスポットオンタイプや注射薬があります。
治療費
感染の度合いや使用する薬、治療期間の違いから治療費が変わります。
体重にもよりますが、駆虫剤の内服タイプの投薬で治療費は3,000〜4,000円くらいです。
しかし混合感染や併発症などの消化器障害を起こしてしまっている場合には、治療期間も長く治療費もかかってしまいます!
猫瓜実条虫症の予防方法
瓜実条虫は、ノミから感染します。
そのため、いくら瓜実条虫を駆除してもノミがいる限りは完全には駆除できません。
再発防止のためにも、ノミの駆除が絶対に必要になります。
ノミの駆除
瓜実条虫は中間宿主となるノミを活環境から駆除する必要があります。
ノミの予防にはセラメクチン(レボリューション、ゾエティス)などのスポットオン剤を、背中に垂らします。
駆虫薬を定期的に投与することで、感染の予防が効果的にできます。
清掃の徹底
室内飼いだから安心と思うかもしれませんが、そうとも言えません。
ノミは室内でも、十分に繁殖します。
もし猫に1匹でもノミがいたら、屋内などの環境中には100倍はいる!
しかも室内でノミが繁殖してしまうと、屋内のノミを完全に殺すことは無理とも言われています。
屋内に住み着いたノミを『環境のノミ』と言います。
環境中のノミの駆除には、ノミの住みそうな屋内の温かい場所のホコリを掃除します。
特に冷蔵庫の裏などには、注意が必要です。
屋内飼育の徹底
ノミの感染を防ぐ意味でも、猫を外に出さないことです。
また新しい子を向かい入れた場合には、その子にもノミの感染が無いことを確認します。
ノミが見えなくても、ノミ予防の処置を行うことが大切です。
猫瓜実条虫症になりやすい猫種
- 外に出ている猫
- ノミの予防をしていない猫
まとめ
瓜実条虫はノミの寄生している猫で多くみられる、しかもヒトにも感染することが知られています。
そんな瓜実条虫はお腹の中に住んでいますが、駆除も予防もできる寄生虫です。
もし、少しでも気になる兆候が見られたら早めにご相談くださいね!
安心して暮らせるお手伝いをいたします!
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