【ヘルペスウイルス感染症】猫のヘルペスウイルス感染症とは?症状や治療法を解説
2021.09.22
涙を流したりクシャミをする、そんな症状がみられたら「猫ヘルペスウイルス感染症」に感染しているかもしれません。
しかも涙は止まらないしクシャミも出ちゃうし、どうにかして〜
簡単に感染して重症化しやすい病気だから、一緒に頑張って治そう。
猫ヘルペスウイルス感染症は、猫ヘルペスウイルスによって引き起こされる病気で猫風邪の一種です。
猫ヘルペスウイルスは猫だけでなく、ライオンやトラなどの猫科の動物にも感染します。
しかも感染から回復しても、生涯にわたりウイルスを体の中に持ち続けてしまいます。
ここでは『猫のヘルペスウイルス感染症』の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
もくじ
猫ヘルペスウイルス感染症の症状
猫ヘルペスウイルス感染症の特徴的な症状は、結膜炎や鼻炎からの眼のウルウルとクシャミです!
症状が進むと熱が出たり食欲も落ち、最悪は肺炎になり死に至ることもあります。
一度感染すると一生病原体が体の中に居座り、体力や抵抗力が弱ると再発します。
また他の猫風邪と混合感染すると重症化することもあります。
感染初期は眼に症状が出やすく、再感染した場合には気管に症状が見られることが多いようです。
クシャミ・鼻水
猫ヘルペスウイルス感染はヒトの風邪の症状に似て、クシャミや鼻水が出ます。
しかも大量の鼻水を流し、クシャミも頻繁にします。
その際に鼻水が遠くまで飛び散るため、周囲を汚すだけでなく他の猫にも感染させてしまいます。
また、鼻が詰まってしまうとニオイを感じられなくなるのか、食欲が落ちる場合もあります。
眼がウルウル
眼脂が増え、眼が充血し、そして眼がウルウルとして涙が流れ、眼の周りがグチャグチャしてきます。
他にも
- 眼のまわりの膜が充血し腫れ上がる(結膜炎)
- 眼ヤニで汚れる
- 痛みから眼を細める
- 眼をショボショボさせる
など様々の症状がみられます。
眼の不快感から眼を気にして前足で擦り、前足が汚れていることもあります。
また重度の結膜炎になった場合には、眼球とまぶたや結膜がくっついてしまうこともあります。
発熱と脱水
猫ヘルペスウイルス感染症にかかると、よく熱を出してしまいます。
その場合には、元気や食欲が落ちてしまいます。
鼻が詰まって食べられない上に、熱の追い討ちです!
また水を飲むことも減り、脱水傾向になります。
特に子猫は免疫力が弱いため重症化しやすいので、注意が必要です。
猫の平熱はヒトよりも高く、平均38度台くらいです。
ただ平熱は個体差だけでなく測定方法によっても違うため、事前に健康な時に平熱を知っておくことがとても大切です。
健康であれば、安静にしている時の体温は39度以上になることはありません。
歯肉炎や口の中の潰瘍
猫ヘルペスウイルス感染症は歯肉炎や口の中に、潰瘍がでることもあります。
そのため、食べるときに口を痛がるような仕草が見られます。
その他にも、皮膚炎を起こすなど、さまざまな症状を起こすと言われています。
猫ヘルペスウイルス感染症の原因
続いては猫ヘルペスウイルス感染症の原因について紹介していきます。
猫ヘルペスウイルスは、感染した猫の涙や鼻水などに多く含まれています。
そのため感染した猫との接触や、ウイルスを含んだ涙やクシャミなどの飛沫からの感染によります。
猫ヘルペスウイルスに感染してしまうと、ウイルスが一生体内に住み続けてしまいます。
そのため回復したのちも、クシャミや鼻水など症状を慢性的に起こすことがあります。
また体力が落ちたり抵抗力が弱まると、再発してしまうこともあります。
多頭飼育の場合、感染している猫は他の猫から隔離しておく必要があります。
猫ヘルペスウイルス感染症の主な治療法と費用
治療に入るにはPCR検査を行い、猫ヘルペスウイルスの感染を確定します。
『PCR検査』は結膜と喉の奥から綿棒で採取した検体をIDEXX社に送付し検査を依頼しています。
ウイルス感染にはL-リジンやインターフェロン、ウイルス治療薬を、また二次感染予防のため抗生物質などを使用します。
また結膜炎などを起こしている場合には、目薬を使う場合もあります。
また、症状を悪化させないことも大切です。
- 体を冷やさないよう保温する
- 眼や鼻周りを綺麗にする
- 吸入器を使い薬を霧状にして吸わせる処置を行う
- フードを温めニオイがたつようにして食べさせる
- 水を飲ませる工夫をして脱水を防ぐ
猫ヘルペスウイルス感染症の治療費
日々の通院でかかる費用は、1週間の投薬で5000円~8000円程度と思ってください。
ただ体重や病状により、多少費用が異なります。
重症になると入院も必要となるため、それだけ治療費もかかってしまいます!
やはり症状的にも経費的にも、早期発見が大切です。
猫ヘルペスウイルス感染症の予防方法
混合ワクチンを打つ
猫ヘルペスウイルス感染症にはワクチンがあります。
しかしワクチンを接種していても、感染を完全には防ぐことができないのでご注意ください。
ワクチンは感染しても、重症化しにくくさせるものです。
生活環境と栄養状態を整える
猫ヘルペスウイルス感染症は気温が低い時期や、寒暖の差が激しい季節の変わり目に多く見られます。
生活環境を整え栄養状態をよくし、ストレスの少ない生活を心がけてあげます。
猫ヘルペスウイルス感染症はヒトには感染しません。
しかし、ヒトを介して他の猫への感染の可能性があります。
そのため飼い主さん自身の消毒も、感染の予防には重要です!
免疫力の低下を防ぐ
猫ヘルペスウイルス感染症の予防には、免疫力の低下を防ぐことも重要です。
寒暖の差が激しい季節や、寒さが厳しい季節は免疫力が低下してしまいます。
また環境の変化やストレス、また歯周病などの基礎疾患や老化も免疫力を下げてしまいます。
免疫力を下げないようにして、快適に過ごせるようにしてあげてください!
猫ヘルペスウイルス感染症を起こしやすい猫種
上記であげた予防方法をぜひ実践してあげてください。
- 生後2~3ヶ月の子猫
- ワクチン未接種
- 免疫力が弱まっている場合
- 持続的なストレスがある場合
まとめ
猫ヘルペスウイルスは感染しやすく、また治療してもなかなか治らず長引くこともある病気です。
また子猫や免疫力の落ちた猫が感染してしまうと、場合によっては死に至ってしまう可哀想な病気です。
多頭飼育の場合には、蔓延してしまうことあるためストレスの少ない環境作りが大切です。
猫の最高長寿は38年、長生きせせてあげましょうね。
何か気になる兆候が見られたら、早めにご相談くださいね!