【甲状腺機能亢進症】猫の甲状腺機能亢進症とは?症状や治療法を解説
2021.09.14
猫が歳を取っても食欲もいっぱいあって動きも活発、やたら元気!
一見病気のサインとは考えにくいような症状が現れる病気が「甲状腺機能亢進症」です。
しかも、大きな声で鳴き叫ぶようなことも多いんです。
どうしてなんでしょうッ!
血液検査でわかるから、検査してみようね。
『甲状腺機能亢進症』は猫のホルモンの病気では最も多い病気ですよね!
「甲状腺機能亢進症」は高齢の猫に多い病気で、7歳から10歳以上の猫の10%は罹っていると言われています。
そのためシニア期の健康診断には、「甲状腺機能亢進症」の診断ができる血液検査を行うことが勧められます。
ここでは『猫の甲状腺機能亢進症』の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
もくじ
甲状腺機能亢進症はどんな症状?
甲状腺はヒトで言う「のどぼとけ」のすぐ下にある小さな組織で、左右に1対あり「全身の細胞の代謝を活発にするホルモン」を分泌しています。
甲状腺機能亢進症になると「甲状腺」の機能が「亢進」、つまり活発化し甲状腺ホルモンが過剰に分泌され体の組織の代謝がさらに高まります。
その結果、さまざまな症状が引き起こされてしまいます。
怒りっぽくなるなど性格に変化が見られる
目がパッチリ開いて、声も大きく元気!
診察しようとすると「寄るな!」と大きな声で鳴く、「触るな」と大きな声で叫び暴れる!
そのような症状が見られることが多いのが、甲状腺機能亢進症です。
見た目や性格の変化には、以下のようなものがあります。
- 活動的になり落ち着きがなくなる
- 怒りっぽくなる
- 興奮しやすく時には凶暴になる
- 大きな声で叫んだり変な声で鳴く
- やたらと甘えてくることがある
- 夜鳴きがみられる
- 水をいっぱい飲みオシッコをいっぱいする
- すごく食べるのに痩せてくる
- 毛がボソボソになり艶が悪くなる
- 毛が抜けやすくなる
心臓など内臓の機能に変化が見られる
甲状腺ホルモンは心臓や胃腸などの内臓の働きや、自律神経を刺激し体温を調節しています。
そのため甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると、それらの調節も異常になってしまいます。
体内の変化には以下のようなものがあります。
- 心臓の動きが活発になり心拍数が増える
- 心臓に雑音が聞こえるようになる
- 心筋障害を起こすく
- 血圧が高くなる
- 体温が高くなる
甲状腺機能亢進症が進むとどうなるの?
見かけは元気なので病気だと気づけないまま、徐々に進行していきます。
進するにつれ体力や食欲が落ち、また痩せたり嘔吐や下痢を繰り返すようになります。
甲状腺機能亢進症は代謝が活発になっているため、老化が早くなしまう病気なです!
そして末期を迎えると燃え尽きたようになり、静かな死を迎えてしまいます。
甲状腺機能亢進症の原因は?
それでは一緒に原因を確認していきましょう
甲状腺機能亢進症は、甲状腺組織の腫瘍化などで甲状腺の細胞が異常に増えてしまうことで起こります。
甲状腺腫瘍の場合では、その多くは良性で悪性のものは2%未満といわれています。
大きくなった甲状腺は、皮膚の上からでも触ってわかるようになることもあります。
ちなみホルモン関連の病気には、甲状腺機能亢進症の他に糖尿病もあります。
甲状腺機能亢進症の治療法と費用
甲状腺機能亢進症は、一見健康に見える裏に隠れている病気とも言えます。
そのため甲状腺機能亢進症を見つけ出すため、血液検査を行い甲状腺ホルモンの量を調べます。
甲状腺ホルモン値が高い場合には、甲状腺機能亢進症と診断されます。
一般的には飲み薬やフードによる内科的治療と甲状腺を摘出する手術を行う外科的治療の二つがあります。
甲状腺機能亢進症の治療は甲状腺ホルモンの分泌を抑え、また併発症を合わせて治療します。
飲み薬やフードによる内科的治療
猫の甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンを抑える薬を飲ませる内科的な治療がメインになります。
一般的には自然に治る病気では無いため、一生にわたって薬を飲む必要があります。
薬は必要量を確認するためにも、投薬の前後で血液検査を行い甲状腺ホルモンの量を測る必要があります。
また薬を飲ませた後、まれに食欲が落ちたり嘔吐や下痢などが見られることがあるため、最初は少なめの量から始め徐々に飲ませる薬の量を増やしていきます。
万が一薬の量が多すぎると甲状腺機能低下症を引き起こしてしまうため、定期的に血液検査を行います。
甲状腺機能亢進症の猫ためのフードがありますよ!
甲状腺機能亢進症用のフードを食べることで、甲状腺ホルモンの分泌量が減るため症状を軽くすることができるとされています。
しかしフードのみでは、病状の大きな改善は難しいされています。
そのため、飲み薬による治療の補助として使われることが多い傾向にあります。
甲状腺を摘出する手術を行う外科的治療
外科的治療は甲状腺が悪性腫瘍である場合や薬を飲ませるのが難しい、内科的治療で治りが悪い場合や反内科的治療で腎不全がみられなかった猫に行います。
両側の甲状腺を摘出した場合には、甲状腺ホルモンが分泌されませんので、甲状腺ホルモンの薬を一生涯飲むことになります。
外科的治療を行う場合には、麻酔のことや手術後のケアなどについ先生と良く相談しましょう。
甲状腺の外科的治療が必要となる場合には、専門病院を紹介しています。
~Dr.Nyan ポイント~
甲状腺機能亢進症は腎不全を併発することが多い?
甲状腺機能亢進症を検査する時には必ず他の病気も隠れていないか確認をします。その理由は、甲状腺機能亢進症を発症している猫は心臓病や腎臓病を併発していることが多いと言われているからです。
これらの病気は高齢の猫に多く見られる、しかも一般的な病気です。内科的な治療を行なっていると、腎不全の症状が出てくるとがあります。これは甲状腺機能亢進症になると、甲状腺ホルモンの作用により体の中を流れる血液の量が増え、その結果、腎臓の血流量も増えて腎不全の症状を隠してしまっているからです。
甲状腺の治療を行う前に、治療による腎臓への影響が現れるかを知ることはとても難しいとされています。腎不全がある場合には、甲状腺機能亢進症とバランスよく治療することが大切です。
甲状腺機能亢進症の治療費は?
甲状腺機能亢進症は隠れた病気のため、重症化する前に早発することが大切です。
甲状腺ホルモンの検査は採血料を含め6000〜8000円、飲み薬は体重や症状により違いますが、一月分で3000〜5000円くらいでしょうか。
甲状腺機能亢進症は生涯治療が必要となりますが、治療が安定し合併症も無い場合には健康な猫と変わらない生活ができます!
甲状腺機能亢進症の予防方法
甲状腺機能亢進症の予防方法はありません。
甲状腺機能亢進症の初期は症状に気づきにくく、また少し病状が進んでも分かりやすい症状が現れるとも限りません。
そのため重症化を防ぐためには、定期的な健康診断以外には手が無いのが現状です。
甲状腺機能亢進症を起こしやすい猫種
- 老齢の猫
まとめ
老齢になって、ますます元気になったと勘違いしてしまうのが甲状腺機能亢進症症です。
そんな病気でも、治療により症状が安定してしまえばい健康な時と変わらない生活ができます。
一見元気そうでも行動の変化などに気になる症状がある場合や、投薬開始後に体調等で気になることがある場合は早めにご相談くださいね。
健康に過ごせる暮らしを、お手伝いいたします。