【口内炎】猫の口内炎とは?症状や治療法を解説
2022.01.25
口内炎って、ポツンって一つでも出来たら痛いですよね!
それは猫も同じことと思いませんか?
お腹減ったよ〜
口の中をチェックしてみようね!
先生、詳しく教えて!
猫の口内炎はヒトの口内炎とは違い、口の中に広く出来たり大きく腫れ上がっているなどしています。
また痛みもひどく、食べたくても食べられないなど食欲が落ちたり鬱っぽい症状が見られる病気です。
「口内炎がどんな病気なのか、原因はなんだか漠然として良くはわからない・・・」
そんな思いをしている飼い主さんに朗報!Dr.Nyanがわかりやすく解説していきますネ!
もくじ
口内炎ってどんな症状?
口内炎とは口腔内の粘膜にできる炎症のことで、歯肉や舌、頬の内側、喉の周囲などに炎症を起こす病気です。
口内炎は口の中の一部に出来るものから口の中に広く出来るもの、また軽症から重度のものまで様々です。
とにかく口の中であれば、どこにでも出来ちゃうのが口内炎です!
猫の口内炎の特徴的な症状は、ヨダレと口臭、そして口の痛みです。
口内炎には、ただ赤くなっているものから潰瘍状になっているものなどがあります。
口内炎は痛みを伴う炎症です。状態を確認する際は痛がらないように注意してくださいね!
腫れや口臭など【口の中の変化】
口内炎になると、以下のような症状が口の中に見られます。
- 口の中の粘膜が腫れる
- 口の中に潰瘍ができる
- 口からの出血する
- 口臭
食欲が落ちるなど【食べるときの変化】
食べる時にフードなどが口内炎に当たり、以下のような症状が見られます。
- 柔らかいものを好む
- 食べづらそうにする
- 食欲が落ちる
- 水を飲むことも大変そう
口内炎から水が飲めないでいると、脱水や衰弱を起こしてしまいます。
その結果、腎臓に負担がかかるようになり腎不全を起こしてしまうこともあります。
腎不全が重症化すると、麻酔をかけて積極的な歯科治療が行えなくなってしまう場合もあります。
そうなるとズーッと痛いままの状態が続いてしまいます。
奇声をあげるなど【行動の変化】
痛みから身繕いができない、またイライラから見られる症状です。
- 顔を擦る
- 毛づくろいしなくなる
- 食べてる時に痛みから奇声をあげる
- 攻撃的になる
口内炎になると、お腹が減っても口の痛みから食べられない状態が続いてしまいます。
口内炎の原因
ちなみ口内炎が出来る原因は、まだハッキリと解明できていない部分があります!
ウイルス感染
猫の口内炎の多くに、ウイルスが関連していると言われています。
特に猫カリシウイルスや猫ウイルス性鼻気管炎ウイルスなどが、原因の一つとされています。
過剰な免疫反応
口内炎は口の中に住む様々な細菌や微生物に対する過剰な免疫反応が、複雑に絡んだ病気と考えられています。
特に免疫を抑えてしまう「猫白血病ウイルス」や「猫免疫不全ウイルス」に感染すると、口内炎が発症しやすくなります。
また糖尿病や副腎皮質機能亢進症、慢性腎炎などは免疫状態が落ちてしまうため、ウイルスが感染しやすい状態ともなります。
そのため、それらの病気に感染すると口内炎が見られることがあります。
外部刺激や誤飲
口の中の異物や傷、歯石、また刺激性のある薬品類の誤飲が原因となることがあります。
治療のための投薬を止めると繰り返し再発するような、難治性の口内炎を起こすことがあります。
歯周病
歯周病歯や歯垢や歯石の中の細菌によって、歯のまわりの歯茎が炎症を起こします。
重度の歯周病、歯肉炎になることで、口内炎をも引き起こしてしまう可能性があります 。
口の中の不衛生な状態は、歯周菌が広がりやすい状態です。
そのため口内炎を改善するには、口の中の環境を良い状態に保つように努力していく必要があります。
口内炎の治療法と費用
痛くて食べるのも嫌になってしまう口内炎を、早く治してあげたいですよね。
治療の基本は、口の中のの細菌や微生物の除去と過剰な炎症反応をコントロールすることです。
では主な治療方法をご紹介します。
投薬を行う
症状や原因によって投薬をおこないます。
- 抗生剤
- ステロイド剤・消炎鎮痛剤(炎症や痛みに対して)
- インターフェロン(ウイルスを抑える物質)
痛いと口を触られるのも嫌になるし、治療を続けるのも大変です。
しかもトラウマにしてしまうことは絶対に避けなくてはなりません。
治療し症状の改善がみられても一時的なもので、治ることが困難な場合もあります。
そのため、治療後にも痛みなどに対しての療法が行われることも多いです。
~Dr.Nyanポイント~
インターフェロンとはどんな薬?
インターフェロンは、体の中に入ったウイルスを直接攻撃はしません。
ウイルスが増えるのを防ぎ、健康な細胞がウイルスに感染しないようにする薬です。
そのような働きをするインターフェロンですが、実際には体の中でも作られています。
しかしウイルスの量がとても多いと、体内のインターフェロンだけでは足りなくなってしまうのです。
そこでインターフェロンを投与し、その働きを助けるてあげるのです。
レーザーを使う
レーザーは痛みなどの症状を軽くし、自然治癒力を高める作用があります。
そのため、レーザーを照射する治療を行います。
治療をするのあたっては、麻酔を必要としません。
またレーザー治療は患部にレーザー光線を当てるだけですので、痛みも感じません。
ただ治療には、幾度か通院する必要があります。
歯科処置を行う
口内炎の原因が「歯周病」であれば歯石を取り除き、歯周病菌を退治します。
しかし、歯周病菌は復活する可能性が高く、再発する恐れがあります。
そのために行われるのが全臼歯抜歯(全ての奥歯を抜く)や、全抜歯(全ての歯を抜く)の治療です。
歯が無ければ歯周ポケットも無くなるため、歯周病菌の住む場所も無くなり発症しないという治療方法です。
しかし早期に全抜歯を行ったとしても、処置を受けた猫の5~10%は改善がみられないことがあります。
全臼歯抜歯や全抜歯を行う場合には、全身麻酔による処置が必要です。
全身麻酔を行うためには、血液検査やレントゲン検査などを行います。
これは口内炎と歯周病が密接な関係があるため、歯周病だと腎臓病や心臓病を患っていることが多いからです。
安全に全身麻酔を行うためには、避けられない検査となります。
猫の体調は体の状態によっては、全身麻酔をかけられない場合もあります。
そうなると、抜歯などの処置を行うのが難しくなってしまいます。
食事や水分の補給
口の中の痛みから、水を飲むこともフードを食べることも大変になってしまいます。
その結果、脱水となったり栄養状態も落ちてしまいます。
また免疫力もしまうため、全身の状態までもが悪くなってしまいます。
そのため水分を補給し、栄養価の高いフードを食べさせることが絶対的に必要です。
再生医療
「慢性の口内炎」の治療法のひとつに「再生医療」があります。
ここでの「再生医療」とは「幹細胞」を用い、本来体が持っている「修復機能」や「自己治癒力」を利用した治療方法です。
幹細胞には、従来の治療薬とは異なる作用で炎症を抑え免疫バランスを調整する働きを持っています。
そのため、既存の治療では反応の乏しかった場合、口腔内の炎症を抑え、症状が改善される可能性があります。
再生医療は以下のような場合に行われます。
- 全臼歯抜歯や全抜歯を行っても改善が見られない
- 外科的な処置が難しい状態である
- 投薬により症状は改善されても薬の副作用が出る
- 症状の再発を繰り返してしまう
慢性口内炎に対する再生医療はまだ研究段階で、現在多くの動物病院で臨床試験が行われております!
再生医療の参考記事:J-ARM(http://j-arm.biz/owner/family)
治療費
軽度の口内炎であれば、診察と外用薬で5,000円前後です。
しかし重度となり全身麻酔が必要となると、50,000円〜80,000円前後にはなります。
料金は抜歯など処置の内容、また心臓病などの病気により違いがでてきてしまいます。
再生医療を行う場合には、幹細胞の採取が済んでいれば1回の治療で80,000円前後になります。
口内炎の予防方法
そのような口内炎を予防できるならしてあげたいですよね。
ワクチン接種
口内炎の原因となる猫カリシウイルスや猫白血病ウイルスなどの感染症にはワクチンがあります。
しかしワクチンを接種していても、感染を完全には防ぐことができません。
ワクチンは、感染しても重症化しにくくさせるものです。
サプリを使う
免疫力が落ちると口内炎ができやすくなります。
そのためる免疫力を上げたり栄養補助にもなる、サプリメントを使うという方法もあります。
粒の大きめなドライフードを食べさせる
小さい時から「粒の大きめなドライフード」を食べさせることです。
大粒のドライフードをあげると、食べるのに良く噛まなければいけません。
その結果、顎をよく使い唾液腺が発達し唾液がたくさん出るようになり歯周菌が住みずらくなります。
つまり、よく噛むことで歯垢が作られにくくなり、結果として歯周菌が住みづらくなります。
水をよく飲ませる
小さい時から「水」をよく飲ませるように心掛けることです。
水をよく飲ませると、口に中は水分で潤っている時間が長くなります。
その結果、口腔内の食べかすや細菌が流れる歯周菌が住みずらくなります。
また、水をいっぱい飲ませることは、口の中の汚れが流れ落ちる働きを持っています。
マウスケア用品を使う
口の中の環境をきれいに保つことが、口内炎の予防にもなります。
小さい頃から少しずつ口を触るようにして、触られることに慣れてもらいます。
またデンタルガム用品も、口の中の健康には効果があります。
口内炎になりやすい猫
特に以下の病気の猫は要注意!上記であげた予防方法をぜひ実践してあげてください。
- 猫カリシウイルス感染症
- 猫ウイルス性鼻気管炎ウイルス感染症
- 猫白血病ウイルス感染症
- 猫免疫不全ウイルス感染症
- 糖尿病
- 副腎皮質機能亢進症
- 慢性腎炎
- 歯周病
まとめ
猫の口内炎は、想像以上に辛く痛いものです。
そのような口内炎を早く見つけ、治療をしてあげましょう。
それには日々の口の中の健康管理と、定期的な健康診断です。
悪さをする歯周菌を少しでも減らして、健康に暮らしましょう!