Dr.Nyanの長生き講座

猫の眼の神秘・猫の眼の構造やオッドアイについて

「目は口ほどにものを言う」や「眼は心の窓」という言葉があります。
この「目」と「眼」の違いって何でしょう?

「目」は、まぶ外た目頭や目尻などを含めた部分を言います。
また台風の目のように「目のように見える現象や物」を表す時にも使われます。
「眼」は「眼球」だけを指し、視覚機能について表す時に使われます。

眼の大きさは同じ

そんな『眼』ですが、ときたま不思議に思うことがあるんです!
例えば犬の場合、体の大きさに関係なく「眼」の大きさは同じくらいなんです。

眼の大きさは体の大きさに比例しているのかと思いきや、違います。
実に、チワワもゴールデンも眼の大きさはほぼ同じなんです・・・

しかも眼の中の瞳って、動物によって形が違うんです。
犬やヒトの瞳は丸い形です
猫やキツネ、ワニは縦長の瞳
馬やアマガエル、カバはや横長の瞳
その他にも三日月型の瞳や、形が変わらない瞳の動物もいるそうですよ!

そんな瞳ですが、猫の瞳の色って黄色や青、緑・・
しかも、左右の色が違うこともあり超〜神秘的に思いませんか?
成長するに従い、色が変化することもあります。

子猫の眼は青い

眼の色が変わると言えば、子猫の眼です。
子猫の眼は青い色をしており、「Kitten Blue(キトンブルー)」と言います。
子猫はキトン、青色はブルーです。

その青い眼がオトナになるにつれ、黄色などに自然に変わるんです。

キトンブルーの様子

子猫の青い眼をしたキトンブルーの状態、

眼の色は虹彩(瞳の大きさを調節する膜)の表面にある、色素の細胞(メラノサイト)のにより変わります。
色素の細胞(メラノサイト)とは、メラニンと言う色素細胞を作り出す細胞です。

子猫の眼が青いのはレイリー散乱から

でも子猫の眼が青いのは、この虹彩に青い色素があるからではありません。
虹彩に色素が無いために起こる「レイリー散乱」と呼ばれる現象です。
ちなみ、空や水が青く見えるのも同じ現象からです。

この色素の無い虹彩に、成長するに従って色素の細胞が増えていきます。
その結果、眼の色が変わっていきます。

キトンブルーでも、青い色合いは様々です。
ブルーの色合いが一番綺麗と思えるのは、生後3~4週頃です!
子猫に出会ったら、その透明で吸い込まれるような瞳の奥を見つめてみて下さい!

ちなみブルーアイと言えばシャム猫ですよね!
その瞳はサファイアブルーとも言われ、とっても綺麗です。

左右の瞳の色が違う「オッドアイ」

「オッドアイ」って聞いたことありませんか?
このオッドアイ(Odd-eye)のオッド(Odd)とは「奇数、不揃い、半端な、片方」などの意味があります。

「オッドアイ」は別名『虹彩異色症(Heterochromia of Iris)』とも言います。
虹彩異色症とは書きますが、病気ではありません。

オッドアイの様子

白猫のオッドアイです

「オッドアイ」はどの猫にも発症する可能性がありますが、白い猫に多く見られます。
その色の組み合わせの多くは片眼が青色(ブルーアイ)、もう片眼が黄色、橙色、緑色、茶色のどれかが一般的です。

その中でも、片眼が青色(ブルーアイ)で片眼が黄色(ゴールドアイ)の猫がいます。
この猫を日本では「金目銀目」とも呼び、縁起が良いとされ「幸運を運んでくる猫」と言われます。

白い猫は産まれるまれることが少ないうえに、さらに少ないオッドアイです。
その吸い込まれるような神秘的な瞳に、魅せられちゃいます。

「オッドアイ」は、様々な動物に現れる症状で、ヒトでも見られます。
しかし、なぜ「オッドアイ」になるのでしょう?

なぜ「オッドアイ」になるのでしょう?

「オッドアイ」の原因は、遺伝とも後天性とも言われています。

遺伝でオッドアイになる場合

白い猫に多いようで「白色遺伝子」が関係していると言われています。
眼の色はブルーアイの部分でも書いたように「メラノサイト」という色素細胞の量によって決まります。
白い猫が持つ遺伝子には、色素の細胞を抑える力(白色遺伝子)があるため白い毛が生えます。
そして眼も毛と同じように、色素が少ない状態=青い眼目なります。

何からの理由で片目だけ、成長とともに色素の細胞が増えなかったことでオッドアイが生まれます。
これが、白猫にオッドアイが多いと言われる理由です。
ちなみ白い毛の面積の多い猫にも、オッドアイが見られます。

■白色遺伝子とは
すべての色を覆い隠して白色にしてしまう遺伝子を、白色遺伝子(W遺伝子)と言います。
この遺伝子は優性で、白色以外の毛の色を決める遺伝子の働きを抑えてしまいます。

つまり茶色の遺伝子や黒色の遺伝子、また茶トラの遺伝子を持っていても、それら全て抑えて全身を真っ白にしてしまう「最強の遺伝子」です。
そのため「隠してしまう」などの意味から「マスキング遺伝子」とも言われます。

■白斑遺伝子とは
毛色が白黒や白茶など体の一部分に白色の毛を生やす遺伝子を、白斑遺伝子と言います。
この遺伝子を持つと、どのような毛色との組み合わせであっても、白い斑状の毛を生やします。

後天性でオッドアイになる場合

眼の怪我や眼の手術が原因となり、眼の色素の細胞(メラノサイト)の量が減ってしまうことによります。

オッドアイになると耳が聞こえない?

白い猫って綺麗ですが、オッドアイになると青色の眼の方の耳が聞こえない場合が多いそうです。
これは内耳の蝸牛(かぎゅう)という組織の中にある、音の感受器官(コルチ器)がちゃんと作られないことによります。
このコルチ器も、色素の細胞(メラノサイト)と同じ細胞から分化します。
そして耳が聞こえないのは、聞こえ方に強い影響を与えるのは白色遺伝子だとされています。
白色遺伝子は毛色だけでなく、瞳の色や聞こえ方にまで影響を与えてしまう遺伝子です!

猫に聴力検査を行うことは難しいのですが、その発生率は30%から40%とも言われています。
ちなみ、青色でない眼の方の耳は普通に聞こえるとされています。

猫の眼の機能は凄い!

猫の黒目(瞳孔)は、時間や場所によってまん丸になったり細長くなったりと変化します。
瞳孔はカメラの絞りのような働きをしており・・眼の中に必要な光を取り込む量を調節する働きがあります。

暗いところでは、光を取り込む量を多くする必要があるために瞳孔が大きく開きます。

しかし明るいところ、まぶしい場所では光を取り込む量が少なくても良いため瞳孔が閉じ小さくなります。

そのため明るい場所や暗い場所への移動したり、夜になったりすると猫の黒目が大きく変化します。
また緊張したり興味あるときや興奮しているときは、明るくても瞳孔が大きくなります。
このように猫の眼は、明るさだけでなく気分や感情でも変化します。

猫の視力と色覚

猫は暗くても見えたり、素早く動くものを追いかけたりします。
そのため視力が良い、そう思いがちです。
しかし猫の視力は、ヒトの10分の1程度しかないと言われています。
その分「動体視力」が優れています。

猫は暗くても見える理由は、眼の構造によります。
眼の中の網膜には、以下の二つの光を感じる組織(光受容体)があります。

■桿体(かんたい)
色を識別できませんが、少ない光でも形をとらえることができる。

■錐体(すいたい)
明るい場所で色や形を認識できるが、暗いところでは働きが下がる。

猫の目には「桿体』が多く存在するとともに、『タペタム』と言う光を増幅する構造も備わっています。
またヒトは赤・緑・青の3色を認識できますが、猫では赤を認識する細胞を持っていません。
そのため、見えるのは緑と青の組み合わせしかありません。
赤が組み合わさらないと、青、水色、緑・・
赤は黒っぽく見えるんでしょうか?
そしたら、なんか暗い感じに見えるんでしょうね。
チョット想像が出来ません!

ま〜猫は夜行性の動物ですから、色の識別よりも形がハッキリと見える方が生きていく上では都合が良いのでしょうね!
夜は、すべてのモノが黒っぽく見えますもんね!

まとめ

透き通るようなブルーの瞳!
いや〜魅力的ですよね。

ブルーアイの猫もオッドアイの猫も、猫の瞳は神秘的です。
もし出会ったなら、透き通る瞳の中に引き込まれ下さい!

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