老犬の介護④:老犬介護に疲れた人へ。介護を「快互」にするための心構えとアドバイス
介護は覚悟や準備もないままに、突然始まってしまいます。
そのため、何をどうして良いかもわからない・・・
介護は、家にいる時間の長い家族に頼ることが多くなってしまいます。
しかも仕事に支障が出るなど、生活のスタイルも変わってしまうこともあります。
その上、終わりが見えない・・・
それだけでなく介護をしているヒトが孤立してしまったり、閉塞感を持つようになってしまうこともあります。
そうなると体や心のバランスが崩れ、身体的にも精神的にも負担が重なり「介護疲れ」を生んでしまいます。
介護を快互にするための心構え
では少しでも楽になる方法を考えてみましょうね!
老犬の介護、自分自身を追い詰めないで
老犬の介護をしている飼い主さんの中には自責の念に駆られ、自分を追い詰めてしまう人が多くいます。
近所迷惑だからと、吠えるのを止めさせようと常に傍らでたたずんでいる方もいます。
またそれが、義務のようになってしまっている方もいます。
悩みがあっても、それをどのように対処して良いか分からないこともあります。
そのようなことから、昼間なのにカーテンを全部閉め切り閉じこもっているケースさえあります。
そんな状態で犬を見つめてしまうと、飼い主の苦痛や悲壮感が犬にも伝わり、余計に元気を失ってしまいます。
介護状態になった場合、その子の存在により飼い主が辛くなるのでは介護生活に大きな影響をもたらします。
大変な老犬の介護はちょっとした工夫で楽になる
飼い主さんの悩みの多くが、以下のようなことです。
- 食べない
- 夜鳴きで困ってる
- 床擦れが治らない
- お漏らしをするなど排泄がうまくいかない
床擦れできちゃったのって、介護の仕方がまずかったのね・・・
でも何かあっても自分を責めちゃダメですよ!
実際に介護するにも、何をどのようにして良いかわからないと言う方も多くいらっしゃいます。
だからと言って、ネットで調べても何も解決しない・・・
そうなんです!
介護のしかたは、その子その子で違うため、他の方の意見は参考に留めておくほうが良いことも多々あります。
大切な事は、歳だからの一言で諦めないで欲しいと言う事です。
歩けなくなったシニア犬が、飼い主さんの愛情と努力で歩き出したのを見てきています。
もし介護が必要でも、その子のQOLを考えて下さい。
介護は大変な事ですが、ちょっとした工夫でとても楽になるものです。
面倒がらずに工夫してあげて下さい。
また介護はこうあるべきだと、ルールを作らないで下さい。
その子その子の状態や体調により、様々な介護パターンがあります。
このパターンの組み合わせしだいでは、辛い介護も楽になります。
床擦れも治らないなんて、諦めてはダメです!
ネットには床擦れの治し方なんてことも書いてあります。
それに従い一生懸命に頑張ったのに、、、治らない。
そんなことも多々あります。
介護は、その子その子のオリジナリ・ケアが必要なんです。
私どもの経験では、治らなかった床擦れはありません!
ない事があっても気に病まず、ご相談くださいね!
犬だけでなく自分自身のケアもしていこう
老齢になると体や頭の不調から、生きていくに必要な快食・快便・快眠・運動に狂いが生じます。
そして生きていくことを継続させるには、それらを人が介助する必要があります。
介護とは、生きていく為に必要な最低限度の手助けをすることです。
自宅介護をしていて、飼い主さん自身が追い詰められないようにして下さいね。
「犬の介護は単に犬を看るのでは無く、犬と一緒に飼い主さんの気持ちのケアーが必要」です。
犬が吠えるなら、日中は広い公園に連れて行って日光浴をしたりして遊ばせます。
そうすれば、夜は眠れるようになることがあります。
それで夜鳴きするの、ご迷惑をおかけしていないかしら?
声聞こえないわよ、大丈夫!
またシニア犬がいることを近所にあらかじめ話しておく。
そうすれば、近所の方の多少の理解は得られこともあります。
自分の不都合はどこにあるかを考えて下さい。
いて飼い主さん自身が楽になれる方法を考えれば負担も軽くなり、自然と気持ちも明るくなるはずです。
そうやって、考え方を少し変えれば良いと思うのです。
看護・介護の主役は飼い主さんです。
飼い主さんが『楽』をしながら、愛犬が少しでも快適に暮らせる方法を考えましょう!
そしてそれぞれの家、それぞれの飼い主さんの考え方と状況に合わせて、見出していくことが必要です。
老犬介護に大切なもの
老犬の介護に大切なものを4つ紹介します。
- 1番大切なものは「飼い主の愛情」
- 2番目は「手間と環境」
- 3番目は「獣医師や動物看護師の考え方」
- 4番目は「使用するモノや薬」
一番大切なものは飼い主さんの愛情です
犬の夜鳴きの場合、鎮静剤や睡眠薬などを欲しがる飼い主がいます。
また飼い主の要望に対し、薬を処方する先生もいます。
投薬はボケそのものを改善するのではなく、「夜鳴き」などの症状を抑制するものです。
しかも薬物の使用が引き金となり、ボケの進行を早め結果的には悪化することがあります。
また関節痛などの痛みに対しても、薬を優先させてしまいがちです。
しかし疼痛部位が冷えないようにしたり患部を温めたりと工夫と手当をしてあげれば、さらに痛みが楽になるはずです。
当然、薬が必要な場合も多くあるでしょう。
しかし大切なのは愛情と手間だと思うのです。
飼い主さんに愛情がいっぱいあっても、あとチョットの工夫でもっと楽に暮らせる事もあると思うのです。
今の獣医療では、このシニア犬に対して飼い主さんが家で行える一手間を重要と捉えていない所に遅れがあるようにも思えます。
犬自身の治癒力を助ける介護を目指そう
医療と介護の境目をはっきりさせることが大切です。
そして治療で治せるものは治し、介護の必要なケースは適切な介護支援をしてあげる事が必要です。
それを左右するのが、シニア犬に対する獣医師の考え方です。
病気は、獣医師が治すものではありません。
獣医師は原因を見つけ、今の状態から改善する方法を考え提案します。
そして犬自身の治癒力を助ける、それが仕事です。
その中で、獣医師の提案を実践するのが家族である皆様です!
まとめ
老化といかに付き合っていくかが、看護や介護の鍵になります。
ゆっくりとしたスピードで老化しても、老化は止まること無く進みます。
病気であっても老化であっても、毎日の生活に不都合の無いように環境を整えてあげることが、とても大切です。
快適な老犬生活を過ごすには、飼い主さんの熱い愛情と、手当と環境が不可欠だと言う事を知って下さい。
我々獣医師も、シニア犬を家族としている飼い主さん達の熱い愛情に応える事が出来るよう頑張ります。
そして持っている介護・看護管理のノウハウを、余すことなくお伝えして行こうと思っています!
【老犬の介護・参考記事】
①:老化のサインに気づいてあげよう1
②:老化のサインに気づいてあげよう2
③:老犬の長生きの秘訣を知っておこう
④:老犬介護に疲れた人へ。介護を「快互」にするための心構えとアドバイス
⑤:老犬の夜鳴きを防ぐには