【コクシジウム症】猫コクシジウム症とは?症状や治療法を解説
2021.11.12
子猫が下痢で、体は痩せて食欲も落ちているいる。
そんな症状がみられたら「お腹の中に虫」が寄生しているかもしれません。
どうにかしてやって〜ッ!
ウンチの検査してみようね!
それって大変じゃない?
コクシジウムは原虫という、とても小さな寄生虫で顕微鏡でないと見えません。
また、ヒトに感染することはない寄生虫です!
ただしコクシジウムの仲間に、猫から人に感染する『トキソプラズマ』がいます。(このトキソプラズマについては別のコラムで紹介しますね。)
ここでは「コクシジウム症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
もくじ
コクシジウム症の症状
健康な猫では感染しても、発症することはあまりありません。
しかし子猫やストレスなどで免疫力が低下してる猫では、発症してしまいます。
でもどんな症状がでたら注意が必要なのかを、確認していきましょうね!
吐いたり下痢などの消化器症状
感染し発症すると粘膜便や下痢便、血便、また吐き気が見られるようになります。
また下痢の治りが悪いと、食欲も落ちてしまうこともあります。
その結果、栄養失調や脱水、体重が落ちたり貧血などの症状も出てきます。
発症するのは、普通は感染してから1週間後くらいからです。
幼猫では感染後3~4日と、症状が早く見られます。
混合感染で重症化
他の寄生虫などと混合感染してまうと、症状がなかなか改善しないことがあります。
例えば、猫回虫などの寄生虫が感染している場合などです。
混合感染を起こすと、場合によっては入院での治療が必要となります。
また消化器症状を起こす細菌やウイルスの感染も、同様に注意が必要です。
腸内の細菌バランスの悪い場合などでも、症状の悪化が見られることが多々あります。
特に子猫への感染は簡単に重症化しやすく、死に至ってしまうこともあります。
そのため子猫の下痢には、十分に注意しなくてはなりません。
コクシジウム症の原因
猫のコクシジウム症は『Cystoisospora felis』や『Cystoisospora rivolta』と言う原虫が小腸に感染して起こります。
これらの原虫は、犬やヒトには感染しません。
コクシジウムはとても小さく、肉眼で見ることはできせん。
そのため顕微鏡での検査を行い、診断します。
繰り返したり治らない下痢がみられるなどでは、早めに検査を行うことが大切です。
口からの感染
コクシジウムに感染した猫のウンチには、オーシストと呼ばれる感染力を持ったコクシジウムの卵のようなものが混じっています。
オーシストはウンチと一緒に体外に出たら、1~2日で感染力を持つようになります。
このオーシストを猫が口にすることで、感染していきます。
コクシジウムのオーシストを猫が口にしたら、オーシストは猫の腸の細胞の中で成長し分裂します。
オーシストが増えるに従い、猫の腸の細胞は壊れていき様々な症状を出してきます。
分裂した新たなオーシストはウンチと一緒に体の外に出て、他の猫への感染の機会を待つようになります。
汚染されたモノからの感染
オーシストに汚染されたフード用の器や、水飲みの用の器から感染します。
また共有にしているトイレからの感染もあります。
他の動物からの感染
オーシストは、猫以外の動物が口にしても発症はしません。
しかし、オーシストを口にした動物を猫が食べてしまうことで、感染してしまうことがあります。
コクシジウム症の主な治療法と費用
コクシジウムと他の寄生虫や感染症を併発してしまうと、重症化することもあるなど厄介な事になります。
しかし一般的には、コクシジウムを殺してしまえば結構治りは良いと言われています。
駆虫薬
駆除薬は現在2種類があります。
1つ目は、「サルファ剤」という薬です。
「サルファ剤」では完全に駆除するには、ある程度長く飲ませる必要があります。
2つ目は「トルトラズリル」という薬です。
この薬はコクシジウムに対して、とても効果があります。
ただ残念なことに、猫用の薬としてまだ許可はされていません。
しかし猫に対して効果は抜群なため、効能外使用ですが当院では使用しています。
猫への投薬は院内で行い、飼い主さんにお渡しし投薬して頂くことはしません!
駆除が完全に行われたかの確認のため、幾度かウンチの検査を行う必要があります。
抗生剤や輸液剤の投与
嘔吐や下痢、また発熱や元気・食欲が落ちてるなどの症状がみられたなら積極的な治療が必要です。
症状によっては、抗生剤や輸液剤などを使用した治療を行います。
消化の良いフードを食べさせ栄養をつけることも大切です。
また体を冷やさないなどの処置も行います。
治療費
感染の度合いや使用する薬の違い、治療期間などにより治療費が変わります。
体重にもよりますが、ウンチの検査と駆虫剤の投薬で治療費は4,500円くらいです。
しかし混合感染や併発症などで重度の消化器障害にまでなっている場合には治療期間も長くなり、治療費もかかってしまいます!
コクシジウム症の予防方法
定期的なウンチの検査
定期的にウンチの検査を行い、コクシジウムの早期発見とコクシジウム症の早期治療を心がけます。
コクシジウムは、1回のウンチ検査では発見できないこともあります。
そのため間隔をあけて、幾度もウンチ検査を行う必要があります。
清掃の徹底
コクシジウムに感染している猫のウンチから、感染します。
しかもウンチの中のオーシストは、時間が経つと感染力を持ちます。
そのためウンチの処理はすみやかに、またウンチが残らないようにトイレの掃除は綺麗に行います。
特に感染している猫のウンチは、すぐに処理し掃除を徹底し清潔に保つようにしましょう。
隔離を行う
新しい猫が来た場合には、感染が無いことが確認できるまでは先住猫と接触させないようにします。
また感染した猫がいる場合には、ウンチの中にオーシストが検出されなくなるまでは隔離しておきます。
~Dr.Nyan ポイント~
感染拡大を防ぐために!煮沸消毒をしよう
猫の体の外に出たコクシジウムのオーシストは、一般的な消毒薬では死滅しません。
感染した猫が使用した毛布などの消毒には、熱湯が良いと言われています。
もし熱湯を使うことが出来ないのなら、60℃のお湯に30分以上浸けておきます。
もちろんお湯の温度が高いほど、効果的です!
猫コクシジウム症になりやすい猫種
- 多数の猫と一緒にいる猫
- 外に出ている猫
まとめ
コクシジウムはウンチの検査で感染が確認ができ、しかも治療を行えば駆除もできます。
子猫や感染が疑わしい猫では、ウンチの状態に問題なくてもウンチ検査を行うようにしましょう。
もし少しでも気になる兆候が見られたなら、なるべく早めにご相談くださいね!
安心して暮らせるお手伝いをいたします!