【疥癬症(かいせんしょう)】猫の疥癬症とは?症状や治療法を解説
2021.11.18
顔の皮膚がゴワゴワで老け顔、しかも頭を振ったり痒がっている。
そんな症状がみられたら、「疥癬(ヒゼンダニ)」が住んでいるかもしれません。
しかも皆に『お前の顔老けたね』って言われちゃう!
もう痒くてイライラだよ!どうにかして〜ッ!
どれどれ見せてごらん?
信じたくなぁ〜い!
猫の疥癬症は、ヒゼンダニの仲間である『猫小穿孔ヒゼンダニ』の寄生により起こります。
ここでのヒゼンダニは、耳疥癬症を引き起こす「耳ヒゼンダニ」とは違います。
猫小穿孔ヒゼンダニは足が短く体がまん丸ですが、耳疥癬は足が長く体が欲しリとしています!
だから人獣共通伝染症の一つと言われているんだ!
ヒトに感染すると、皮膚の柔らかい部分に痒い赤いポチポチ発疹がでるよ!
感染力がとても強く、しかも非常に痒がる「疥癬症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
もくじ
疥癬症の症状
まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!
疥癬はとても小さな虫で、その大きさは1mmの半分以下の 0.3~0.5mm 程度といわれています。
ヒゼンダニは皮膚にトンネルを掘り、その穴の中で生活します。
その穴の中で暮らしてるヒゼンダニは、そこでウンチをしたり分泌物を出します。
それらウンチや分泌物が原因となり、アレルギー反応を引き起こすと言われています。
これが激しい痒みを伴う皮膚炎を起こす理由です。
激しく痒がる
疥癬症の特徴は、とにかく非常に痒がることです!
そのため四六時中、体を爪で掻きむしっています。
また血が出るくらい掻きむしってしまうこともあります。
とにかく疥癬に感染すると、激しい痒みから生活の質は非常に悪くなってしまいます。
病変は顔から始まる
猫の疥癬の感染の多くが、耳、顔、頭から広がっていきます。
そのため、頭を振るようになります。
また鬱っぽい感じになってしまう猫もいます。
時間と共に背中やお腹、四肢にと全身に皮膚炎の症状が広がっていきます。
特に免疫力が弱い仔猫では、あっという間に全身に感染が広がってしまいます。
皮膚が分厚くなりフケが出る
皮膚に赤いブツブツができ、炎症から皮膚は硬く分厚くなりフケが目立つようになります。
また毛の根元がカサブタで固まり、毛も抜け落ちていきます。
顔や頭の皮膚がゴワゴワ・シワシワになり、まるで年をとった猫のように見えます。
感染から皮膚炎を起こしてしまう
感染した皮膚を掻きむしることで皮膚が傷付き、皮膚炎を引き起こします。
掻き傷から血を流したり、掻き壊した皮膚が化膿してしまうこともあります。
感染が重度になってしまった場合には、命を落とすこともあります。
疥癬症の原因
猫の疥癬症は『猫小穿孔ヒゼンダニ』の寄生により起こります。
またまれに、犬の疥癬症の原因である「犬小穿孔ヒゼンダニ」の感染で起こることもあります。
直接の接触による感染
疥癬症はヒゼンダニに寄生した猫との接触により、感染します。
そのため、仲の良い猫同士に疥癬の感染が広がっていきます。
母猫が疥癬に感染していると、子猫も感染してしまいます。
関節的な接触による感染
自宅外でヒゼンダニ感染した猫を抱っこなどすると、衣服にヒゼンダニを付けてしまうことがあります。
そして、そのまま家に持ち帰ってしまい飼い猫に感染することがあります。
猫の体から離れ落ちたヒゼンダニは、数日で死亡します。
しかしその数日の間に、落ちた環境の中で感染を広めていきます。
多飼育の場合にはブラシやタオルを共有することで、感染する場合もあります。
疥癬症の主な治療法と費用
疥癬から感染症を併発してしまうと、ちょっと厄介です。
しかし一般的には、早々に疥癬の感染を見つけ出して殺してしまえば治りは良いと言われています。
治療に際しては、疥癬や他の寄生虫感染がないか検査を行います。
- 皮膚の 掻爬検査:道具を使い、皮膚表面を軽く擦り皮膚片などの中を調べます
- セロテープ法:セロテープを皮膚に貼り付け、それに付いた皮膚片などの中を調べます
- 皮膚の全般的な検査:他の寄生虫の寄生や細菌感染などを調べます
駆虫薬の投与
疥癬症の治療では、セラメクチン、イベルメクチンなどの薬を投与します。
駆除剤には注射や内服薬などがあります。
ダニの駆除剤はダニの成虫に効果がありますが、ダニの卵には効果はありません。
そのため間隔を開け、幾度か投薬を行います。
多頭飼いの場合には、他の子も感染している可能性が高いため一緒に治療を行います。
薬抗生剤などを投与
炎症から強い痒みを伴う場合には、生活の質の改善のために痒み止めを飲ませます。
また細菌感染を起こしている場合には、抗生剤を飲ませます。
治療費
感染の度合いや使用する薬、治療期間の違いから治療費が変わります。
また体重によっても、治療費は変わってしまいます。
一般的には仔猫の場合では、検査と投薬で治療費は5,000〜8,000円くらいです。
しかし重度の皮膚炎になっている場合には、治療期間も長く治療費もかかってしまいます!
疥癬症の予防方法
感染した猫との接触を避ける
ヒゼンダニに感染した猫との接触を避けることが予防になります。
多頭飼育の場合には他の猫に広がるのが早いので、特に注意が必要です。
もし 同居猫が感染しているなら、同居猫にも予防的投与を行います。
屋内環境の整備
日ごろから、飼育環境を清潔に整えるように心がけましょう。
室内飼いでも、網戸越しで外の猫との接触がないように注意します。
屋内飼育の徹底
接触により感染しますので、外に猫を出さないことが重要です。
また新しい子を向かい入れた場合には、感染が無いことが確認できるまで隔離期間を設けます。
疥癬症になりやすい猫種
- 外に出ている猫
- 免疫力が低下している猫
- 体力的に弱っている猫
- 衰弱している猫
まとめ
痒いのが続くと、日々の生活にストレスが溜まってしまいます。
疥癬症は、気をつければ予防も再発も防げる病気です。
痒みや皮膚炎などの気になる兆候が見られたら、ご相談くださいね。
イライラの無い快適な暮らしができるよう、お手伝いします!
【参考記事】千葉県獣医師会 人獣共通感染症 関連資料