【ニキビダニ症】犬のニキビダニ症とは?症状や治療法を解説
2021.11.25
顔の皮膚がゴワゴワで老け顔、しかも頭を振ったり痒がっている。
しかも足先の毛も抜けて、気になる!
そんな症状がみられたら「ニキビダニ」が住んでいるかもしれません。
しかも皆に『お前の顔老けたね』って言われちゃう!
もう痒くてイライラだよ!どうにかして〜ッ!
どれどれ検査してみようね、見せてごらん?
信じたくなぁ〜い!
『ニキビダニ』は皮膚の毛穴(毛包)に住んでいるダニの一種です。
別名、「アカラス」や「毛包虫」とも言われます。
このニキビダニが原因で発症する皮膚病が、ニキビダニ症(毛包虫症; Demodicosis)です。
ちなみ疥癬という寄生虫が感染しておこる疥癬症もありますが、症状がチョット違います。
また「ダニ」という名前が付いてますが、見た目にはマダニのように丸い形はしていません。
しかも体長が0.2~0.3mmと、とても小さく顕微鏡でないと見えません。
また厄介なことに、駆除にも手間のかかる寄生虫です。
【参考記事】ヒトのニキビダニの記事です
では「ニキビダニ症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
もくじ
ニキビダニ症の症状
ニキビダニは、様々な原因により毛穴の中で増えていきます。
その結果、脱毛や炎症、発疹などの皮膚炎の症状が毛穴(毛包)を中心として見られます。
一般的には口や眼の周り、前足から脱毛などに皮膚炎の症状が見られます。
感染が耳、顔、頭から周囲に広がることも多く、頭を振る動きがみられることもあります。
また、細菌感染が起こることで痒がるようになる場合もあります。
ニキビダニ症は主に子犬に見られますが、老犬にも見られることがあります。
毛が抜けてしまう
ニキビダニが毛穴の中で増えると毛根がダメージを受け、毛が抜けます。
発症の初期は毛が抜け皮膚がツルツルになりますが、痒みはありません。
膿胞ができてくる
脱毛した部分に黄色みがかった膿が溜まり盛り上がった嚢胞ができ、皮膚がただれてきます。
そのままの状態が続くと前足から肩や胴に、顔から首へと徐々に毛が抜けていきます。
感染から皮膚炎を起こす
重症になると全身に皮膚炎の症状が広がります。
そして細菌の二次感染により皮膚が化膿したり、出血や皮膚が分厚くなるなどの症状が見られるようになります。
毛が抜けた部分に細菌や真菌の感染が起きてしまい、さらに痒みが増えてしまいます。
そのままの状態を放置しておくと、細菌感染の悪化から死に至ってしまうこともあります。
ニキビダニ症の原因
ニキビダニ症は、ニキビダニが多数寄生することによって発症します。
ニキビダニが寄生している母犬との接触
生後「ニキビダニが寄生している母犬」の母乳を吸うなどからも感染します。
それ以外でも仔犬の場合は、母犬との濃密な接触からニキビダニに感染すると言われています。
寄生したニキビダニは仔犬の毛穴(毛包)の中で卵を産み、そこで一生を過ごします。
仔犬や若い犬は「免疫力」が少なく感染し発症しやすいと言われます。
しかしニキビダニが寄生したからと言っても、必ず発症するとは限りません。
つまり多くの犬では感染はしていても、何の症状も起こさずに普通に暮らしています。
免疫力や基礎疾患の影響
老犬の場合、発症の原因は若い犬と大きく異なります。
老犬は加齢による免疫力の低下や、基礎疾患の影響によりニキビダニに感染します。
例えば
などの基礎疾患が影響しているケースもあります。
また、
- ステロイドなど、免疫抑制作用を持つ薬の使用
- 患部を舐めたり爪で引っ掻く
- 全身の栄養状態や皮膚バリア機能の状態が悪い
なども要因となります。
ニキビダニ症の主な治療法と費用
ニキビダニから感染症を併発してしまうと、ちょっと厄介です。
また老犬の場合のニキビダニ症は、免疫力の低下や基礎疾患が絡んでいることが多々あります。
確認の検査は、皮膚を掻爬(そうは)したり皮膚を一部を切り出して行います。
皮膚の掻爬検査では道具を使い、皮膚にある毛穴の中のニキビダニを絞り出すようにします。
また他の寄生虫の寄生や細菌感染などの確認を行うなど、皮膚の全般的な検査も行います。
ニキビダニ症を悪化させない、慢性化させないためにも以下の五つの治療方法を組み合わせて行います。
飲み薬での治療
内服タイプのノミ・ダニ予防薬であるブラベクトなどを使います。
ダニの駆除剤はダニの成虫に効果があり、ダニの卵には効果はありません。
そのため間隔を開け、幾度か投薬を行う必要があります。
注射薬での治療
ドラメクチンなどの注射薬を使います。
注射も飲み薬と同じように間隔を開け、幾度か注射を行います。
細菌感染などの治療
細菌や真菌の感染を起こしている場合には、抗生剤や抗真菌剤を使用します。
治療の効果が現れたからといって治療を休止してしまうと、再発してしまうことも少なくはありません。
また痒みを止める意味でのステロイド剤の使用は、病状を悪化させてしまうことが多々あります。
そのため、抗ヒスタミン剤を使用します。
シャンプー治療
皮膚炎を起こしている場合には、治療の補助としてシャンプーを行います。
基礎疾患の治療
ニキビダニ症の発症には、その犬の免疫状態や持っている基礎疾患が大きく関わっています。
主な基礎疾患としては以下のようなものがあります。
場合によってはニキビダニ症の治療と併せて、これらの基礎疾患の治療を行う必要があります!
以下の写真は治療後の様子です!
治療費
感染の度合いや使用する薬、治療期間の違いから治療費が変わります。
一般的には検査と投薬で治療費は6,000円くらいです。
しかし重度の皮膚炎にまでなっている場合には、治療期間も長く治療費もかかってしまいます!
また真菌が感染した場合には、その治療を行います。
ニキビダニ症の予防方法
感染した犬を妊娠させない
ニキビダニに感染した犬との接触を避けるようにします。
母子感染もあるため、
ニキビダニに感染した雌犬の妊娠を避けることも予防になります。
老齢犬の体調管理を行う
老齢の犬が発症した場合には、なかなか治らず治療が大変になります。
また場合によっては、生涯にわたって治療が必要となることもあります。
そのため体調管理をしっかりと行い、病状の悪化を防ぐように心がけなくてはなりません。
ニキビダニ症になりやすい犬種
- どんな犬種でも発症する可能性があります
まとめ
皮膚炎が続くと、日々の生活にストレスが溜まってしまいます。
気になる兆候が見られたら、ご相談くださいね。
快適な暮らしができるように、スタッフ一同お手伝いします!