【肛門腺炎】犬の肛門腺炎とは?症状や治療法を解説
2021.07.12
お尻を地面に擦りつけている!
そんな症状がみられたら「肛門腺炎」を引き起こしているかもしれません。
それで床にスリスリすると気持ち良いんだよ!
診てあげるから見せてごらん?
肛門腺炎は犬に普通に見られる病気ですが、予防もできる病気です。
ここでは『犬の肛門腺炎』の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
※当記事は犬の症例写真を参考画像として載せています。苦手な方はお控え頂くか、十分注意してご覧ください。
もくじ
肛門腺炎ってどんな症状?
犬同士が互いのお尻のニオイを嗅ぎ合っているのは、お互いを確認し合うためなんです。
そして肛門腺の分泌物は、普通はウンチをする時に肛門腺が圧迫されウンチと一緒に出てしまいます。
しかし肛門腺の分泌物が出にくかったりすると炎症を起こし、肛門腺炎を発症してしまいます。
肛門の斜め下の部分が腫れる
肛門腺の位置は時計で言うと、肛門が時計の中央で肛門腺は『4と8』くらいの位置にあります。
肛門腺に分泌液が溜まると、腫れてきます。
そのため腫れて固くなった肛門線が、皮膚の上からでも確認できるようになります。
だたお尻に筋肉が多い犬では、肛門腺の確認が難しい場合もあります。
お尻を地面に擦りつける
肛門腺炎が起こると、その仕草で一番分かりやすいのがお尻を地面に擦りつけることです。
お尻を擦るときはドカッとお尻を床や地面に付け座り込み、後ろ足の先を宙に上げお尻を引きずりながら前足を使って前に進みます。
これは肛門腺の腫れからの違和感や、炎症による痒みが原因となっています。
そのため擦り過ぎてしまうと、肛門周囲から出血するほどになってしまう犬もいます。
ただお尻を地面に擦る動作は肛門腺のトラブル以外にも見られることがあります。
例えばマラセチア性皮膚炎など肛門周囲に症状が出やすい皮膚炎から、肛門周囲が痒くなることがあります。
また、肛門付近に住む寄生虫が原因となることもあります。
肛門周囲を舐める
炎症からの痒みからか、肛門や肛門周囲を舐めたり噛んだりして肛門が赤くなってしまうことがあります。
炎症からの痛みからか自分の尾を追いかけグルグル回るような仕草をしたり、怒りっぽくなってしまうこともあります。
またウンチをするのを我慢してしまい、便秘になってしまうこともあります。
肛門腺の部分の皮膚が赤く腫れたり穴が開いてしまうく
肛門腺の炎症や破裂から、肛門腺の部分の皮膚が赤く腫れてブヨブヨになってしまうことがあります。
またその部分の皮膚が壊死を起こして黒くなってしまうこともあります。
黒く壊死した部分が取れると、大きな穴が開いてしまいます。
腫れていた部分に穴が開いてしまい、そこから膿や血が出てくることがあります。
肛門腺炎の原因
肛門腺炎は肛門腺から出る分泌物が適切に排出されないため引き起こります。
通常はウンチと一緒にでる分泌物ですが、なぜ上手く排出されないことがあります。
肛門腺から出口までの管が細い
犬によっては、肛門腺から出口までの管が細い子がいます。
管が細いと肛門腺の分泌物が出づらく、中に溜まったままになってしまいます。
肛門腺の分泌物の粘度が高い
肛門腺の分泌物がドロドロだと、ウンチをする時に肛門腺が圧迫されても出てきません。
肛門腺の分泌物の固さや色は、犬によって様々です。
その違いの例を以下に見せるね!
老化などにより肛門括約筋の収縮力が低い
肛門腺炎は、肛門の括約筋の収縮する力が弱まると発症しやすくなります。
肛門の括約筋の収縮力が弱まる原因には老化もありますが、単に括約筋の筋肉量が少ないという場合もあります。
どちらにしろ肛門腺を押す力が足りず、中に溜まっている分泌物を出せず溜まってしまいます。
肛門腺炎の治療法と費用
肛門線を絞る
肛門腺を絞り、肛門腺内の分泌物を押し出します。
また指で圧迫しても、分泌物が固くて出づらくなってしまっている場合もあります。
このような場合には定期的に絞ってあげることが必要になります。
肛門腺の洗浄と抗生剤の投与
炎症を起こしている肛門腺を生理食塩水などで洗浄し、肛門腺の中を綺麗にします。
細菌感染を起こしている場合には、抗生剤を使います。
肛門腺が破裂した場合には、傷が治りやすいように洗浄などの処置を行います。
通常であれば、大体2~3週間程度で治ります。
手術で肛門腺を摘出する
治療しても治りが悪い場合や、再発が続く場合には全身麻酔での手術により肛門腺を摘出することもあります。
肛門腺炎の治療費
軽度の肛門腺炎であれば、診察と飲み薬で5000円前後です。
しかし全身麻酔で手術が必要とするような場合には、50000円〜80000円前後にはなってしまいます。
料金は、処置の内容などで違いがあります。
やはり『予防に勝る治療は無い』とは思います!
肛門腺炎の予防方法
肛門腺炎の予防には、肛門腺の炎症からくる仕草や行動の変化に気が付いてあげることです。
行動の変化を見逃さない
肛門腺にトラブルが起きそうな時には、何らかの行動の変化が見られます。
その変化を見逃さないようにしましょう!
以下に肛門腺炎の際の行動の変化を示します!
- お尻をしきりに気にする
- お尻を舐めることが増えた
- 散歩中に急に立ち止まりお尻を気にする
- お尻を地面にこすりつけている
日頃からのケアとしての肛門腺絞り
肛門腺が溜まりやすく、自然に出ない場合には絞ってあげることが必要になります。
肛門線絞りを行う目安としては、2週間~1か月程度とは言いますが個体差もあります。
そのため、肛門腺の状態を確認してから絞りましょう。
難しいようであったら無理に行わず、相談してね!
肛門腺を絞るのは、最初は肛門腺の場所や絞る際の力の入れ具合などが分からないので難しいと思います。
しかしコツをつかむと、割と簡単にできるようになります。
右利きの人は左手でシッポを優しく上に持ち上げて、右手で肛門腺の腫れを確認します。
肛門腺の位置は時計で言うと『4と8』くらいの位置にあります。
肛門腺の部分の下の方に、親指と人差し指を当てます。
当てた指先を、肛門に向けて押し上げるような感じで押します。
力を入れ押し過ぎると嫌がりますので、注意しましょう!
肛門の横にある「肛門腺の開口部」、いわゆる肛門腺の穴の位置です。
ここから分泌物が出てきます。
分泌物が出てるかなと覗きこむと、分泌物がピュッと顔に飛んでくることがあります。
また周囲に飛び散ることもありますので、肛門をティッシュなどで覆うようにすると飛散を防げます。
分泌物が肛門の周りの毛にも付きますので、綺麗に拭いておきます。
肛門腺の出口が詰まっていたりなどで、肛門腺絞りが難しい犬もいます。
その場合には無理をせずに、先生に相談して下さい!
肛門腺炎になりやすい犬
- トイ・プードル
- チワワ
- ミニチュアダックス
- シーズー
- 小型犬
- 肥満犬
まとめ
肛門腺が腫れているの気が付かないでいると、爆発して大ごとになってしまいます。
肛門腺炎は、予防ができる病気です。
しかも肛門腺炎になっても、症状に気が付いてしまえば悪化することも防げる病気です。
肛門腺炎にならないよう、また重症化しないようお手伝いしますのでご相談ください!
参考まで:肛門腺の絞り方アニコム